先生と私【3年A組】#5

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*Masato Gunji side*


渡海一郎。
東城大学医学部付属病院総合外科の医師だった。
だった……というのは
彼が除籍処分になったから。
ある患者のオペの際、体内にペアンを置き忘れた医療過誤にて辞めることになった。
教授候補だった渡海一郎に代わり、教授に就任したのが佐伯清剛。




時『元々春瑚ちゃんは、東城大じゃなくて
別のさくら病院に通院していたんだけど、さくら病院では対処しきれないってことで紹介状を出されたんだ、東城大に
そこで、担当になったのが渡海一郎
渡海一郎や、周りの看護師はすぐに春瑚ちゃんと母親との関係性が異常だって気づいたらしい
看護師の藤原真琴さん…今は師長か…
藤原さんが見てたらしい
その時の渡海先生とのやり取りを…』




*


*


*


時『じゃあ、藤原さんは渡海一郎先生と、櫻井由佳さんと春瑚ちゃんとのやり取り見ていたんですか?』

藤『………忘れもしません…
小学生になりたての春瑚ちゃんが傷だらけだったことは…』






一『!!
……………すみません、お母さん
少しだけ…5分で構いません
春瑚ちゃんと2人きりで話をさせてください』

由『えっ……で、ですが……』

一『これからここで治療をする為に必要な事です』

由『………わかりました』




母親を診察室から出すと
渡海先生は俯く春瑚ちゃんにこう言ったのです。




一『私の娘にならないかい?』

『娘?』

一『そうだよ?
私には自慢の息子もいるんだが、
可愛い娘が欲しかったんだよ
君さえよければだけど…』




きっと春瑚ちゃんが両親から暴力を受けているって言えないって思った先生の優しさだったんだと思います。
その言葉に春瑚ちゃんは




『なる…』




と一言だけ言いました。
そこからは先生の行動が速く…




一『藤原くん、春瑚ちゃんの手当をしてやってくれ』

藤『は、はい
承知しました!』




私は春瑚ちゃんを連れ、カーテンで仕切られた診察ベッドの上に座らせ、処置を始めました。
カーテンの向こう側では渡海先生と母親との会話が聞こえてきました。




一『お金も何もいらない
口止めをする必要も無い
ただ、春瑚ちゃんを傷つけるだけなのであれば、私達の養子にしてほしい』

由『………あんなの…ただの出来損ないよ…
いくらでもあげるわよ』






『…………』

藤『春瑚ちゃん…』

『平気…
嫌われてるの知ってたから…』

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