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ページ34

胸が痛くなってきて、息が乱れてくる。
それを隠すようにして私は美術室に来た。
美術室に足を踏み入れると
甲斐くんと先生が対峙していて
でも先生は今までより辛そうな顔で
苦しんだ声を上げていた。
先生に駆け寄って、先生を抱き寄せる。
甲斐くんに見られてるとか、もうどうでもよかった。




柊『っ………あ”っ………春…』

『息整えて…
そう……そのまま……』

柊『はぁ……はぁ……はぁ……』

甲『…………』

『………甲斐くん…何でそんな苦しそうな顔してるの?』

甲『!!
……お前には関係ねーよ…』

『そう…』




そう言うと甲斐くんはそのまま美術室を出ていってしまった。
私はそのまま先生を支えながら準備室に入ると
ソファーに座らせ、デスク周りに置いてある薬を持ってきたのだけど




『先生……薬……って…
何でいつもの薬じゃないの?』

柊『…………』

『悪化してるの?』

柊『………ああ』

『っ……』




自分の胸の痛みのことなんかすっかり抜けていた。
先生のその返事でまた胸が締め付けられた気がして、もっと苦しくなった。




柊『………お前も…薬を飲む間隔が短くなってないか?』

『…そりゃ…余命まもなくだから…なのかな…』




その言葉で静かになる。
お互い自分達の薬を飲む。
そして私は先生にくっついて隣に座った。
大丈夫……先生はヒーローで…強いから…
急に置いていなくなったりしない…。




柊『……春』

『ん?』

柊『痛み……やわらげて…』

『えっ……でも……』

柊『いいから…今は俺の事だけ考えて…』

『っ………んっ…』




いつからだろう…。
お互い痛みが耐えられなくなった時…
キスをするようになった…。
舌を絡めて…夢中になって……痛みなんか忘れさせるように……。




『んっ………はっ…』

柊『んっ……はぁ…春…もっと舌出して』

『ん………んんぅ……ふ…ぅ…』

柊『ん……っは…』




どれくらいそうしていただろうか…。
唇を離すと…先生の綺麗な目と合う。




『……マシになった?』

柊『だいぶ…マシになった…
春は?息苦しくないか?』

『ん……平気』




最後にもう一度軽く唇にキスを落とされる。




柊『もう大丈夫だ
茅野達も心配してるだろうから
教室に戻れ』

『……うん、わかった』




あと何回…先生とキスできるんだろう…。
目頭が熱くなり、泣きそうになるのをこらえ
私は準備室を出た。




*



*




柊『っ………はぁ……耐えろ……理性…』

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櫻宮みゆ(プロフ) - 海さん» お、重いですよね、自分でも思います笑 幸せな気持ちになれるよう、最後まで頑張りますので引き続きよろしくお願いします。 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 84bf1856eb (このIDを非表示/違反報告)
- 春ちゃんの過去が重すぎて、でもだからこそ柊一颯との関係がなりたってると思ったら……ただ、これから、春ちゃんはどうなるんだろうとドキドキハラハラして見てます。いつも楽しみにしてます。お体に気をつけて更新頑張ってください。ずっと応援してます。 (2019年4月3日 0時) (レス) id: be3baba71f (このIDを非表示/違反報告)
- 柊先生との関係にドキドキしながら読んでます。 (2019年3月28日 11時) (レス) id: ed5c94d402 (このIDを非表示/違反報告)
- 応援してます。更新頑張って下さい!楽しみです! (2019年3月26日 18時) (レス) id: be3baba71f (このIDを非表示/違反報告)
三波碧です。(プロフ) - この作品大好きです!更新頑張ってください! (2019年3月24日 23時) (レス) id: 84994bf844 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻宮みゆ | 作成日時:2019年3月23日 6時

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