先生と私の夢物語【3年A組】

昼休みの約束 ページ14

昼休み、美術室に行くべきなのかと考えていると
突然教室の扉が開く。




柊『渡海』




わざわざ迎えに来たとか?柊先生…
みんなの視線痛いから
明日からは来るなって言おう
目線を落としながらリュックを持って
先生のところへと向かう。





柊『じゃあ、行こうか』

『……はい』




美術室に入ると
昨日と同じように座って
私も弁当を開く。
今日は大丈夫。崩れてない。




『……柊先生、約束はちゃんと守ります
だから明日からは教室に来なくてもいいです』

柊『んー
教室来られたらまずい事でもあるのか?』

『………いいえ
ですが……注目されるのは嫌いです
約束したからにはちゃんと毎日行きますから…
お願いします…』

柊『………わかった』

『…………』

柊『ん?なんだ?
俺のことそんなに見て…』

『………いえ…』




やっぱり…私には先生の本音とか
全然読み取れない…




柊『渡海?』

『………先生は…どうして先生になったんですか』

柊『……俺、本当はヒーローになりたかったんだ』

『………はい?』




何を言い出すんだ、この先生…




柊『でも、俺にはなれなかった
で……流れに身を任せてたら教師になってた
美術の教師免許は大学で取ってたし…』

『………』

柊『渡海の期待してる答えじゃなかったかもな』

『………私はその前のヒーローという単語に驚いてますが…』

柊『ヒーローはヒーローだよ』

『………わかりました、もう聞きません』

柊『えー?』




何、ヒーローって…
っていうか、真顔でそんな話されても
上手い反応出来ないし…。




柊『それより今日の放課後楽しみだな』

『……朝からそれ言ってますよね
しかも楽しみと言いながら笑ってませんよ、先生』

柊『……そうか?』

『………はい、それで笑ってるつもりなら
ちょっと驚きです』

柊『渡海だって笑わないじゃないか』

『…………』

柊『人の事言えないんじゃないか?』

『……先生に関係ない…です…』








"ヘラヘラ笑わないでよ!!
アンタのせいで!!!!"

"泣くな
今度泣いたら殴るだけじゃ済まさないぞ"







"春瑚ちゃん、嬉しい時は笑っていいのよ?ね?"

"そうだぞ、春瑚ちゃん
もう、君は自由なんだから…"

"………おい、そのアホみたいな顔やめろ
普通にしてろ
笑いたきゃ笑え、泣きたきゃ泣け…
それがお前の当然の権利だ"








『……………私は家族の前以外で…
表情を変えることが出来ません…』

柊『…………』

『ただ……それだけです…』

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