梵天に追われ中の探偵社員【東リべ･文スト】 (ページ28)

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私の発した声にシーンと静まるフロア。

先程までオーナーに詰め寄っていた白い長髪のお兄さんと海月ヘアのお兄さんは私の言葉に笑っていた。

きっとこんなガキが、と思われているのだろう。

「何お嬢さん？俺らが満足するだけの額持ってんの？」

『はい。だからこの腕解いてくれませんか？』

「とか言って逃げ出すんだろ？面白くねぇ冗談はよせよ。な？」

私を人質にしているお兄さんに交渉をもちかけたが、真実だと言うのに聞く耳すら持って貰えない。このお兄さん、口調も表情も柔らかいが滲み出るオーラが只者ではない。

引き金を引くことは無さそうだけど万が一のことがあるかもしれない、と思って私はお兄さんに抵抗する振りをして左手の小指に触れた。

糸だけは結んでおこう。

ｵｰﾅｰ「……こ、こいつですよ！！」

「んあ？」

顔を青くしていたオーナーが私の顔をまじまじとみて思い出したかのように声を荒らげる。

ｵｰﾅｰ「さっき言ってた豪運の持ち主！！軽く100億以上は持っていかれたんです！！」

「……まじ？」

白い長髪の男が興味津々に私の方へ近寄ってくる。
海月ヘアの男はジロジロと私の顔を見て、まだ納得のいかないような顔をしている。

「……で？金くれるの？」

『タダで差し上げるとは言ってないですよ！

ギャンブルをしましょう。其れが此処の規則(ルール)でしょ？』

私がそう言うと私に銃を突きつけていたお兄さんが私を解放してくれる。

「面白ぇ。何がお望み？」

『其方が勝てばお金を、私が勝てば……そうですね、

あの男性が欲しいです。』

私の目線の先にはスタッフの衣装を着た一人の男性。……そう、田中さんのお父様だ。

敦「Aちゃん！……大丈夫なんですか太宰さん！？」

治「心配ご無用だよ敦くん。
彼女は幼い頃から英才教育を受けていてね……

語学に楽器、歴史、政治、経済、チェス、オセロ、囲碁、将棋、華道、茶道、書道、礼儀作法、色々と身に付けているのだよ。

勿論……ギヤンブルもね」

______無事依頼完了まではもう少し

『さ？オーナーさん何をぼうっとしてるんです？

私の相手をするのは貴方ですよ。』

ｵｰﾅｰ「……へ？」

オーナーは攻め込んできた3人のうち、誰かが相手すると思っていたのだろう。呆然としている。

『内容は一般的なポーカーにしましょう。

……貴方の運次第で超多額の現金が手に入るんですから、精々頑張ってくださいね？』