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絶体絶命のピンチとはこういうことを云うのだろうか。
今現在私はかなり背の高い男性の腕の中だ。頭には拳銃が突きつけられている。
誰かは分からないがチラッと上を向くと紫の綺麗な髪の毛だけは確認できた。
敦「Aちゃん……!」
『敦くん。私は大丈夫だから、その鞄拾っておいて。』
人質となってしまった私を心配する敦くんに、先程の衝撃で手放してしまったスーツケースとボストンバックを拾うように命じる。
中は大金、万が一誰かの手に渡るようなことがあっては大変だ。
カジノ内にいた客はザワザワとして、私たちから距離をとる。
こんな堂々と犯罪行為をして、捕まるのが怖くないのだろうか。目撃者も多いだろうに。
……厭、そもそもここは日本では禁じられている筈の闇カジノ。客もみんな訳ありだろうから問題なしなのか?
「……な、何の騒ぎだ!!」
奥の部屋から、オーナー……基、我々の依頼主である田中さんのお父様を騙した張本人がやってきた。
オーナー「は、灰谷さん……!」
オーナーは私に拳銃を突きつけてる男を見ると、顔が青ざめ、急に震えあがる。
名前もご存知みたいだし、知り合いではあるようだ。店に押しかけられるほど怒られるような事を彼はしたのだろうか。
「よォ、なんで俺らがここに来たかはわかってるよな?」
白くて長い髪とキリッとしている目が特徴の男性がオーナーに詰め寄る。
「上納金、あれで許されると思ってんのか?」
私を人質にしてる人と似た髪色をした、海月ヘアの男性もオーナーを睨む。
殺伐としたその空気は、ポートマフィア時代を鮮明に思い出す程だった。
オーナー「も、申し訳御座いません……!どうやら客の中に豪運の持ち主がいたようで……採算とれなくて……!」
「あ"?賭博なんて元々そういうもんだろ?」
「いいから金寄越せよ、予定の倍は貰うまで帰んねぇからな?」
オーナー「す、すみません!従業員の給料を削ってもどうにもならない額でして……!」
オーナーと男たちが争う声を他所に私は考え事をしていた。
豪運の持ち主……?金が足りない……?
私は何となく、身に覚えがあるな。と思い、敦くんが持っている合計4つの大きい鞄を見る。
治くんも同じことを思っていたようで目が合う。彼の手には此処の最高額のチップが十数枚。
……私たちのせい?
……偶然の産物だが此の状況は使えそうだ
『あの……お金にお困りですか?』
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名:ももも | 作成日時:2021年8月23日 5時