さよなら独歩さん

首 ページ4

案外何日も何か月も何年もかけて積み上げてきたものは
軽く、もろく崩れ落ちてしまうようだ









好きだと言ってくれたあの口も


優しく撫でてくれたあの手も


抱きしめてくれたあの腕も・・・胴体も

細く長い足も





全部全部、違う人のものになっていたのね






「ちょ・・・・っおい」




まだ何も理解しきってない独歩の声も聞こえないふりをして家を飛び出てしまった



あぁ、どうしよう

唯一スマホだけは持ち出せたので、誰かに連絡をかけようとした


こういう時に限って親友は仕事だ。かけれるはずもない




他の人・・・

寂雷先生は？一二三は？頭に思い浮かんだ麻天狼の２人


だめだ、この二人に連絡してしまったら独歩の今後の活動に関わってしまう


他のディビジョンの人も同じような理由で電話をかけることができなかった





別の人も思い浮かんだが特別親しいというわけでもないな・・・

こういうときに自分の友好関係の作り方を恨む







結局だれにもかけることなく歩き続け



行きついたのは静かなビルの路地裏




すとんと体中の力が抜けたが、枯れ切った涙はもう出ることがなかった









「つめっ・・・たい・・・な・・・あははは」

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