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長めの髪を左下に結った男は眉を下げてスマホ越しに誰かと会話をしている。

時折、声を荒げたり慌てたり泣きそうになったり…。

喜怒哀楽表情豊かで忙しい人だなぁ。


いまだに警戒心むき出しでソファーの陰から
じっと見つめていることしか出来ない私は彼のころころ変わる表情を見る。


ソファーの陰に隠れるときに引っ掴んだ
私の顔の半分以上を隠している
薄い青色のタオルケットは、
私が強く握りすぎているせいで皺が寄っていた。



「だ、だから!燐音くんが連れてきたんでしょ!?
僕、何故かすっごく怯えられていて…。
もうっ如何すればいいっんすかぁ〜。」



もうっ!とりあえず早く帰ってきてくださいよ〜!!!


半泣き状態で長めの髪を左下に結った男が
言葉をやけくそになって大声で放った時
ガチャリとドアが開いた。



「泣き虫ニキちゃん声でけェ」



まだ通話状態になったまんまのスマホを右手に持ち、左手の示指を耳に突っ込んでドスドスと歩いてくる。



燐音くんだって声大きいし…
てか鍵開けっ放しだったの…。

ニキちゃんと呼ばれた男が不満そうな顔をしながらぶつくさ独り言を呟く。



そんなこと気にした様子もなく緋色の男は、
ガサガサと袋を漁りソファーの後ろにいる私に四角い箱を投げてきた。



「ほらよっ、絆創膏。」



上手く受け取れなくて
四角い箱のとんがった部分が頭に当たる。


「痛ッ…。」

これ、地味に痛いやつだよ。



下手くそと言いまた下品な笑い方をして
洗面所に入っていく緋色の男。



ニキちゃん(?)は、キッチンへと姿を消した。



一人リビングに取り残された私は
手の中の絆創膏の箱の封を切ることにした。

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作者名:ミヤノ x他1人 | 作成日時:2020年9月4日 0時

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