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「うぅ〜、もう最悪。」
ジンジンと痛む足と顔に集まる恥ずかしさからくる熱。
すぐ傍で先ほどの見知らぬ男が私の膝を見て一言。
「おね〜さん、かなり派手に転んだなァ」
きゃははとガラの悪そうな笑い方で笑いながら
私の目の前に背を向けてしゃがみ込んだ。
「…え?ど、どうしたんですか。」
この男が急に自分の前にしゃがみ込み
いったい何がしたいのか分からない私は困惑して目の前の男に向かって問うた。
瞬間、私の視界には緋色が飛び込んできた。
この緋色が男の髪の毛の色だという事に気が付いたのは背負われてから数秒後。
私はこの男に無理やり小さな子供にするみたいにおんぶされたのだ。
そのままどんどん男は大股で進んでいく。
私は最初のうちはずっと
「おろしてください。」とか「私、歩けますから大丈夫です。」とか「いやぁ!高い怖い。」とか
色んなことを口にしていたが、
この男は私の事を下ろす気なんてさらさらないようで
私の言葉をすべて無視してアパートのある方へと歩を進めていく。
この男は私が何を言っても全く聞く耳を持たないため諦めて背負われていた。
「…おね〜さん、家ってどこらへん?って、おいおい危機感ねえなぁ。
こんなんじゃ見しらぬ男にパクって食われても文句言えねーな。」
私は背中越しに伝わるこの男の体温に安心し、
赤子のようにいつの間にか寝てしまっていた。
そのため途中から記憶が一切なかったし
これから出会う人物も現在私を背負っている男も
私にとって掛け替えのない大切な存在になるだなんて思いもせず
ただただ気持ちよく眠りの世界に入っていった。
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作者名:ミヤノ x他1人 | 作成日時:2020年9月4日 0時