霞柱とその元恋仲さん

参拾伍 ページ37

You side









むいくんなら 助けられる。



むいくんは柱の中でもトップクラスの力を持つ。





前だって 下弦の壱なんてぱぱっと殺してた







『だ、大丈夫 わたしだっているんだから』







柱が2人いるのよ？


助かる みんな 助ける 桜橋のみんな









『ッ！！』


やっとの思いで

わたしが 桜橋町に足を踏み入れた時


生臭い血の色で 前が見えなくなりそうだった





『っ… おばさん、おじさん』



甘味処のおばさん、 着物屋のおじさんも



血まみれで亡くなっていた。




殺されすぎだ…


多分 町ごと食料庫にしようとしたんだ








このまま 北東に 鬼の色。


一目散に向かう。



十二鬼月だから 色も一層濃く、辿りやすい



むいくんの色も こっちだ









でも


あれ？



この道









私の実家がある方向じゃないか？




『ッッッ！！！！』






『嗚呼！！！』


叫びながら 足をもっと加速させた。









やっと 家にたどり着けた




…鬼が此処に、いる。








わたしは 息を呑みながら入る。



生きてるはずだ 大丈夫 むいくんもいる






でもそこにあったのは









父
「助けて…ッ…」


母
「ッく、 健、、Aっ……」




あまりにも 残酷な光景だった









わたしは一目散に駆け寄る




『お母さん！！！お父さん！！！！』


父「A、っ…」

『いやよ、いかないで！！！！』

母「い、生きなさい、ッ…」





『だめ！置いていかないで！もう私から何も！奪わないで！！！』


でも 2人はついに、こと切れた。




『ッ……』


鬼の気配がする 庭を見るとそこには


焦りで焦点の合っていないむいくんと、


気持ち悪くて吐き気もしそうな見た目の下弦の陸の鬼が


愛する弟 、 健の下半身を切り落としたところだった。




健は片手に 木刀を持っていて

無力に等しいかもしれない力を使って下弦の陸に立ち向かおうとしていたことが分かった






『ッッ健！！！！』



健「グハ…っ！ 姉、ちゃ、…」


『馬鹿！なんで …なんで無茶するの！！！』


健「はは、… おれ 守れなかった、ね…」


『何を言うの…だめ、いや、死なないで！！』


健「姉ちゃん、…ッ…おれ、死ぬんだね …｣

『ち、ちがう…！』


健「死ぬ前に、ねえちゃんと はなせてよかったよ」





愛おしそうに見つめてくる健



わたしから流れた涙が 健の顔に 落ちていく

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