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あまり車の通らないこの道で、２、３台の車が私の隣を通り過ぎる。
車のライトが私たちを照らし、思わず目を細めた。黒い髪に、白い肌。よく見れば二重で、真っ黒の瞳は澄み切っている。
それは紛れもなく、彼…―――重岡さんだ。
「な、何！？」
慌てて私の手を振り払い、重岡さんは前髪をぐしゃぐしゃ掻く。そして若干ずれた黒縁眼鏡をクイと持ち上げた。
『重岡、さん』
「だから何！」
『……な、何でもないです』
「はあ！？何やねんもう。びっくりするなぁ…」
あの少年に恋に堕ちた時の記憶は、正直あまりない。
気が付けば堕ちていて、気が付けば彼のことが好きだった。告白されても「好きな人がいる」と言って断っていたし、相手は私のことを妹のように思っていただろうけれど、それでも良かった。
この人と一緒に居たい、と。
そう思ってしまった。
＊＊＊
「アハハ、望月さんって面白い」
『わ、笑い事じゃないんですよ！』
本日、神山さんとの食事会第二回目。
私たちは高級感溢れるイタリアン…ではなく、気軽に入りやすい居酒屋で食事をしている。その方がお互いの性に合っているからだ。
神山さんの話を聞くのは、面白い。
日常のこと、仕事のこと、自分のこと、それから重岡さんのことも。
私は、小さなえくぼを見せて笑う神山さんをぼうっと見つめていた。
「何？俺の顔に何かついてる？」
『い、いや、何でもないです！ごめんなさい』
「えー、俺も望月さんのこといっぱい見ちゃうで？」
『……』
神山さんは昔のあの少年で。
私は少年を１０年間ずっと想い続け、初恋の蕾が萎むことはなくて。
それは、分かってるのに。
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葉月(プロフ) - しげええええええ泣 (2018年1月22日 22時) (
レス) id: 976831957c (このIDを非表示/違反報告)
クリームパン(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！もう最後の最後まで感動しました泣なんて素敵な作品なんでしょうか、こんな作品を読めてもう幸せですっ！これからも応援してます！！ (2017年12月22日 17時) (レス) id: 69d39ba2c0 (このIDを非表示/違反報告)
ありさか - 藤井さんの小説からまた来ました ！！！ とても楽しみにしてます（ ; ; ） (2017年10月24日 23時) (レス) id: f77e20ba12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みやび
| 作成日時：2017年10月24日 5時
