#57. ページ7
薄暗く、涼しい室内。パチパチと目を開けると隣に御幸と倉持の2人が腰を下ろしていた
電気も付けず何やってるんだと思い、立ち上がって電気をつけた
『…』
頬杖をつき、傍から見ると苦しいだろうと言うような体制で眠りこけている。
『おい』と背中を叩いて2人を起こした。「あぇ、」なんて間抜けな声を出しながら欠伸をし、目を擦り俺の方に目をやる。
『サボりかよ』
「Aもじゃん」
「疲れとんだか？」
『ん、飛んだ。もう元気』
倉持からの問いかけに頷くと、「ほれ」と制服を手を出される。元々衣装の入っていたビニール袋に入れていた制服、学園祭は終わったようで俺はその場で着替えた。
やっぱりズボンが一番しっくり来る、パッパと服を払って整えメイド服は畳んで袋の中に入れた。
2人も制服に着替えており、よいしょと立ち上がる。
「行こうぜ」
「A、俺らのクラスが1番売り上げてんだぜ」
『まじ？すげーな』
「…ほぼお前の売り上げだろ」
「御幸、何止まってんだよ。行こうぜ」
少し後ろで足を止めていた御幸、倉持が手を引いて3人一緒に倉庫から荷物を持って出る。
倉持とのあの出来事はめちゃくちゃ鮮明に覚えている、なんて事をしてしまったんだと寝る前の数分間は思っていたが、意外にも倉持は何も言ってこない。
教室に戻ると「衣装は持って帰っていいぜ〜」とクラスメイトに言われた。
『……いる？倉持』
「え、なんで俺が」
『俺要らね。着る機会ないし、野球部の人らの遊び道具にでもしてやって』
「…沢村にでも着せるか」
そう言い、倉持は衣装を受け取ってくれた。クリスマス会やらのコスプレ衣装として利用してもらえれば幸いだ。
この日は飾り付けられた教室内を片付け、皆「終わった終わった！」と帰っていく。無事学園祭が終わってスッキリした表情。
『…』
「なぁ」
校舎下の通路を歩く人達を眺めていると、背後から御幸に話しかけられた。
倉持は他のクラスメイトと何やら楽しそうに話している。
『ん？』
「…お前、なんかあったろ」
『例えば？』
「学祭の接客中。あの大学生」
そこまで言われ、俺は口を噤んだ。なんでこいつ知ってるんだ、と。
冷たい風の通る教室、それに反して頬には冷や汗が伝う。
なんて答えよう、頭を動かすが何も返事は出てこない。
そしてぎこちない笑みを浮かべていたんだろう、御幸が近付いて俺の頬を引っ張った。
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
