#54. ページ4
ああゾワゾワする
早く持ち場に戻らせてくれ。
大学生に料理を提供し、他のお客の料理も運ぼうかなーなんて思っていると手首を掴まれた。
驚いて振りほどくことも出来ず、その中のリーダーらしき人と目が合う。
「ここってお触りいいの？」
『いやぁ…はは、ダメなんじゃないっすかね』
「ふぅん、じゃあお喋りしようよ。ここ立って」
そう言われ、その人の隣を指さされた。
断りたい、断りたいけどこいつは客。拒否していいのか？機嫌損ねたらどうなる？なんて、ぐるぐる考え結局言われた通りに隣に立った。
なるべく普通に、何事も無いように。
最初は笑って一緒に談笑していたが、スルスルと何かが足に触れた。
スカートで覆っているから素足に当たることなんてほぼ無いはず。
ふと隣の男を見ると、俺のスカートの中に手を入れてきている。怖くて怖くて動くことが出来ないのに、そいつは気にせず仲間との会話を続けていた。
手はふくらはぎを撫で、太ももに触れてそのままケツに。そんな大事なところ兄貴に叩かれた事と倉持に蹴りを入れられた時くらいしか触られない。
全身に鳥肌が立っているってのに話を振られ、笑って返すしかない。
こいつらが帰るまで我慢だ、そう思い数分。手は離れて皿に乗っていたオムライスも綺麗に平らげていた。
やっと帰ってくれる、そう思ったが甘かった。
「写真、撮れるんだよね？いくら？」
隣に座るその男が俺に問いかけてきた。
『1枚300円…ですね、誰かと写真撮ります？』
「ああ、皆と君とで撮ろうかな」
よいしょと立ち上がる大学生。完全に俺より背が高い。廊下にいる2人に視線をやったが何か話しているようでこっちには何も気付いていない。
憂鬱な気分のまま撮影スペースに着き、まずは普通に1枚。
帰れ帰れ、さっさと帰れと心の中で願っているとこの仕切られたスペースというのがこいつらに火をつけた。
「ここ仕切られてて丁度いいし、ちょっとスカート上げてみて」
『…上げる？』
「そうそう、たくし上げんの。…金は弾むぜ、ほら1枚1万で買ってやる」
財布から取り出されたお札。バッと開かれた財布にはその他にもびっしりと。
どうやって稼いだんだと言うほど入っており、少し心が揺らいだ。俺がもしここで1万で写真を売って稼いだらかなりの売上になるんじゃないか。
でも倫理的に…なんて事もよぎる。
「悪い話じゃないと思うけど」
『…や、やります、』
そう言うと「よし」と直ぐにカメラを構えた。
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
