#74. ページ24
2人は一日中ご機嫌だった。何故か俺に尽くすように、何かをしようとする度要件を聞いて自分が代わりにやれそうな事は率先してやってくれた。
頭に怪我した時と同じ様なものを感じる
『なんでそんなに機嫌いいのさ』
ふと気になり、昼休みに質問をした。
返ってきた言葉は「嬉しかったから」と。2人とも一緒の回答ではて、と頭にハテナを浮かべる。
「靴。置いてたろお前」
「沢村から聞いたからな」
『え、沢村喋っちゃったの？！俺の粋な計らいが…』
「ヒャハハ！お前らしくていいと思うぜ、俺は」
「手の込んだことするなとは思ったわ」
楽しそうに笑い、倉持は俺の肩をバシバシ叩く。
2人が嬉しそうにしてくれているのならいいけど…気付かれるとちょっと恥ずかしい事してるなと再認識させられる。
きっと沢村も倉持から絞められたんだろう、少し可哀想な役割をさせてしまった。
昼飯は2人からの奢り。「俺らのプレゼントじゃ割に合わない」と言われたが、気にしなくても良かったのに。
どうしてもと聞かない2人、渋々奢ってもらった。
『2人は将来何になんの』
「御幸はプロだろ。多分」
「目指してんのはそこだけど…倉持はどうなんだよ」
「プロになれたらそれでもいいけど、普通に就職でもいいんじゃねぇかとは思ってる」
『意外と真剣ね』
ふと思いついた事を問いかけると、案外すぐに2人の夢が返ってきた。
へぇ、と俺と御幸は倉持の話の内容に驚きつつも何となく納得。
「そういうお前は？」
『決めてねー、大学行くか兄貴の店手伝うか』
「あー、お兄さん居たなそう言えば」
「お兄さんの所で働くなら大学行く必要考えるよな」
なんて意外と真面目な話で昼飯が終わった。
2人とも真剣に考えてるんだなと思いながら、夢が叶うことを願う。卒業までまだ1年あるけど、夢は持っているに越したことはない。
トレイを返却し、食堂を出て暖かい教室へと足早に戻る。手には亮さんから貰ったカイロ。
あの人達もあと数ヶ月で卒業か。
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
