#52. ページ2
人来ないんじゃないか、そう心配していたけれど不必要だったようだ。
ものの数分で満席、行列はまだ出来ていないが呼び込み役の2人の周りを色んな女の人が囲んでいる。
面白いから少しの間放っておこう。
「あの」
1番最初に来てくれた女性2人に呼び止められ、振り返る。
メロンソーダとパンケーキを頼んでくれたが、口に合わなかったのだろうか。
『どうしました？』
「写真って撮れるんですか…？」
『ああ、1枚300円で良ければ撮れますよ。あそこの撮影スペースで』
「良かった…！あの、2枚撮りたいんです。廊下で呼び込みしている2人と私達の写真と、あなたと私達の2枚を」
初っ端からお誘いを頂いて少し浮かれながらも撮影スペースに2人を連れて仕切りの中へ。
所持している携帯がスマホだった為、3脚に固定をし俺を真ん中にして撮影。
まず1枚。
『ちょっとお待ちください』と2人を残して廊下側の窓から顔を出し囲まれて困っている2人を呼んだ。
『御幸！倉持！指名！』
「はっ、え？」
『写真！俺がそれ持つから早く行け！』
顔を引っ込め、扉付近で看板を受け取り2人は急いで撮影スペースへ。
その間廊下に出て2人を囲んでいた女性達と談笑。「スポーツやってるの？」「写真っていくら？」等質問も投げられる。答えながら、ははーと笑い話していると満足そうな笑顔で頭を下げ女性達は離れて行った。
倉持に看板を返し、中へと引っ込む。
会計も済ませたらしくお金を分別していたのを確認し、持ち場へ戻る。呼ばれたらまた動こう、今他の奴が注文聞いてるから少し休憩しててもバレないだろうなぁと。
今教室にいるのは全員女性。
メイド役の子が呼ばれたり、黒服が呼ばれたりして撮影スペースへ入るのを何回か目にした。
作ってよかった、意外と一般的な高校生でも撮影してくれるんだと嬉しく思う。
だが、1人、また1人と客は減って0へ。2人を取り囲んでいた人たちも軽い食事をしてどこかへ行ってしまった。
一気に暇になった黒服とメイド、廊下の窓を開け近寄ってきた御幸達と会話をしながら通り過ぎる人達へ挨拶をしていた。
多分昼飯時になったら人が多くなるんだろう、それまでの辛抱だと気長に客が入るのを待っていた。
3人で雑談をし始めて10分程経っただろうか、「女装だって」と男性数人が教室の前で足を止めた。少し茶化した風だったが興味を持ってくれたのか窓から内装を覗く
「お、君は女装の子か」
『メイドやってます』
「いいじゃん、入ろうぜ」
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
