#51. ページ1
時間も忘れて6人で話していると、キーンコーン…とチャイムが鳴った。「やばいッ！」と駆け足で戻っていく3人。その背中を見えなくなるまで眺め、俺らも教室内に向き直った。
テーブルクロスをかけ、オシャレに飾った俺らの机。4個集めるとそこそこ大きさも見栄えも良くなる。
それがこの教室に計6席。後方のスペース確保の為に席は少し少なめに設定してある。
黒板の下にはクーラーボックスが何個も。中には食材が入っているらしく、黒服が5人係でりょうりをつくると。俺らはそれをテーブルまで運ぶ係らしい。
1番倉持と御幸が楽なポジション。心底羨ましい
「あと30分か」
先生のその声に数人が時計に視線を向ける。いつの間にか1時間が経っていたらしい、校門の外にはゾロゾロと人が集まってきている。
窓から顔を覗かせて様子を見ていると、俺の方を指さし何かキャッキャと話している女性達。
ふと頭上を見ると御幸と倉持も窓から顔を出していた、絶対こいつら狙いだ。
『人多いね』
「去年もだったよな」
『去年俺たこ焼き屋やってたわ』
「へぇ、作れるんだ」
『いや、雑用』
門前に集まる人の数をに、し、ろ、と数えるが少し目を離す度動くし増えるしでざっくりとしか数えることが出来なかった。外の出店では、直ぐに提供できるようにする為かもう焼きそばやお好み焼きなどを作り始めている。
いい匂いが2階にものぼってきて食欲がそそられる。時間が出来たら買いに行こう。
それから20分ちょっと経っただろうか、校内アナウンスが全体に響いた。
「お待たせ致しました」から始まり、少しの挨拶をした後に「学園祭、お楽しみください」と締め括られ校門が一気に開いた。
ドッと人が押し寄せる。やっぱり学園祭は回る側も楽しめるんだろうか。
御幸と倉持はクラスメイトに呼ばれ廊下に看板を持って呼び込み開始。
俺らは中で会話をしたりと人が来るまで待機していた。
まだ1階で色んな出店を回っているんだろう、2階に人はまだ来ていない。
2人が立っている付近の扉に寄りかかりながら、人が来るまで談笑していると、先程指をさしていた女性が駆け寄ってきた。
「すっご…入ってもいいですか…？」
「いいですよ、瀬乃、案内してやれよ」
『あ、おう…何名様ですか？』
「2人です！」
『お好きな席へどうぞ〜、注文が決まりましたらお呼びください』
なるべく笑顔で。お客第1号、内装を見ながら楽しそうにしている姿を見て少しやって良かったなと思えたかも。
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
