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鬱になりそうな程の毎日が流れる。
現地に居たファンは月野木の異変を感じ取り、試合後の声を上げて泣く姿も自身の目で見ている為に彼を擁護する人物が多かった。
それは相手球団のファンもそうだった。

ただ、詳しくも知らずSNS上に上がる切り抜かれた動画だけを見て月野木を批判する者は少なくなかった。
月野木本人は携帯も触っていない為何も見てはいないが、本人の代わりにSNSをしているチームメイトや他球団選手が庇う声を大きくさせる。

あの日に着た山本からのメールと着信にも返す気力が無く、なんのコンタクトも取らないままかなりの日数が経とうとしていた。
いつの間にか日本シリーズが終わっており、世間は阪神の事でもちきりとなっていた。

肌寒い部屋で横になっていた月野木は、ゆっくりと上体を起こして時間を確認する為に携帯を手にして画面を開く。
顔認証でロックが解除され、時間を確認したと共にロック画面に現れる通知バナーに視線を落とす。

" 俺、メジャー行く。"

その短い文章が目に留まった。
1日前に送られてきた彼の言葉に呼吸が浅くなり、タップする。開かれるメッセージアプリには、彼からのメッセージが沢山来ていた。
月野木を心配する言葉ばかり、時折 " 日シリ負けたー " なんて文言もあり、ここで阪神の優勝を知った。

文を打って返そうかと思ったが、その気力が無く、連絡先から彼の電話番号を探して電話を発信した。
無機質なコール音が1回、2回…と増えていき、6回目で電話が繋がった。

「…A?」

彼の声に

「うん。」

とだけしか返事が出来なかった。
頭も意識も思考もハッキリしているはずなのに、感情が追い付かずに声が震えてしまう。

「お前、お前腕…。」

「……お前メジャー行くの。」

電話の向こうの山本は、クライマックスシリーズでの月野木の腕を心配していた。
けれど月野木は山本のメジャー挑戦が知りたいようだった。

「…行くよ。」

「……お前凄いもん、行かないと勿体ないもん。」

「…Aの方も、今季もスカウト多かったやん。」

「明日監督のところ行くけど、また蹴られるよ。結局なんにも出来てない。」

寂しげな声に、山本は口を噤む。
なんて返事をしようか、そう考えていると携帯が取り上げられ声の主が変わった。

「会わん?明後日…明明後日くらい。俺らそっち行くから。」

「そーいち?」

山本の隣にいた山崎が携帯を奪って勝手に約束を取り付ける。
彼のそんな強引な部分に助けられる事もあった。

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Hime(プロフ) - 好き、全員が幸せハッピーエンドの作品が見たいです… (11月26日 21時) (レス) @page35 id: 49f8a58ef1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年11月9日 22時

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