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何度経験しているにも関わらず時間が流れるのは早いと何度も感じる。
リーグ戦は優勝を逃したものの、まだ2位、3位、4位と大接戦の攻防戦をしていた。
大事な試合、月野木はベンチ入りしていた。前日に先発として完投した月野木がベンチ入りも常日頃の事で皆慣れた様子だった。
今回もベンチ入りするだけで登板は無い。

勝たなくてはいけない試合。序盤からヒヤヒヤする気持ちで見つめていたグラウンド、月野木は願う様に両手を組んで見守っていた。
けれど、様子がおかしい事に3回の裏辺りで気が付いた。
リリーフ陣やコーチが忙しく動き、投手交代のアナウンスも回ごとに知らされる。時折、イニング中にもウグイス嬢の声が響いた。

「うーん…。なんかあったのかな。」

そんな事を呟きながら、壁に寄り掛かる。

「点差あるし、落ち着いて行きたいけど…控えのピッチャー少ないね。」

「ね。まぁ、そんな日もあるんだろうけどね。頑張れ大津。」

肩を慣らし終えた大津と短い会話を交わし、彼と拳を突き合わせて送り出す。
7回の裏、月野木は1人でグラウンドを見つめる。

大きな応援はドーム全体が呑み込まれそうで、頭にガンガン響いてくる。
相手球団の本拠地だということもあるが、何度聴いても慣れない応援の声量に体が震えた。

大津も抑え、7回の裏が終わる。
8回の表でも得点し、その差は8点差となっていた。オスナが回跨ぎ前提で抑えとしてマウンドに立ったが、ノーアウトで走者で全ての塁が埋まってしまった。
そんな状況で、ブルペンに設置された電話が鳴った。

ブルペン捕手が受話器を取り、会話を交わした後月野木に指示があった。

「Aに投げてほしいって。」

「次の回ですか?」

「いや…この打者が終わったら交代。」

「……すぐじゃないですか。」

そんな会話の後、自身のグラブを手にして肩慣らしを始める。
ブルペンに響く破裂音、つい昨日も聞いた自身の音。
何球か投げた所で、歓声が上がる。適時打が放たれて2点を返されてしまった。
そんな状況に、ブルペンに斉藤が足早にやって来て月野木の元へ寄っていく。そのまま肩に腕を回したかと思えば

「こんな無茶ばかりでごめんな、大丈夫、落ち着いていけば。」

そう言ってプレッシャーを軽減させてくれる。
ノーアウトのまま、火消し要因として重い責任を抱えたままウグイス嬢のアナウンスと共にダグアウトから駆け出した。

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Hime(プロフ) - 好き、全員が幸せハッピーエンドの作品が見たいです… (11月26日 21時) (レス) @page35 id: 49f8a58ef1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年11月9日 22時

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