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連敗脱出すると、月野木にはまた笑顔が戻っていた。
それと同時に " 畜野木 " というワードも頻繁に見るようになり、批判はあるものの、多少は昔のようにファンの楽しげなSNS投稿は増え始めていた。

自分の居場所が分からなくなっても、思い通りに行かなくなっても、野球が大好きだという一心で監督の言葉には首を縦に振り試合に少しでも出場しようとした。
イエスマンなのが自分の首を絞めているという事は本人は気付いていない。

「Aはえらいと思うよ、俺。本当に。」

試合が無い、ただの練習日。ダグアウト前でのんびりと横になっていた月野木の手を取り、手のひらをマッサージしながら中村は言う。

「えらいですか。」

「うん。皆言ってる。えらいって。格好良いって。」

今1番欲しい言葉を彼は伝えてくれる。
牧原とよく一緒にいる中村は、牧原伝いで月野木の事を聞くのだろう。

「球界一の投手を聞かれたら、皆山本由伸とか佐々木朗希とかをあげると思うんだよね。」

「凄いですもん、あのふたり。」

「でも俺ね、Aも球界一だと思うんよね。」

右手の平を優しく、疲れを解すように揉んでくれる彼の言葉は月野木の心にジンと響く。
じわりじわり、と染み込むような彼の言葉に思わず笑みが溢れる。

「何にでも対応する。アクシデントがあっても、それ乗り越えて来て、評価に繋がって。」

「…晃さんにそう言われると、凄く自信がつきます。」

彼の手をぎゅうっと握った後、体を起こして彼の両肩に手を置く。そのまま、お礼と言わんばかりに彼の肩を揉んで会話を続ける。
月野木との会話で中村も笑顔を見せて肩を揉む手にちょんと触れて、感謝を述べた。

「休憩終わるし、そろそろ戻ろーか。」

「ですね。肩揉んだんだからちゃんと動いてくださいよ。」

「分かったって。」

ふふ、と目尻をあげて笑う彼に月野木も笑みを返して、外野スタンド側へと駆けていく。
そんな月野木の背中を見届け、中村も打撃練習へと向かう。
何気無い練習時間が、月野木には楽しく思えていた。

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Hime(プロフ) - 好き、全員が幸せハッピーエンドの作品が見たいです… (11月26日 21時) (レス) @page35 id: 49f8a58ef1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年11月9日 22時

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