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2016年ドラフト、5巡目で福岡ソフトバンクホークスに指名された月野木(つきのき)は高卒1年目で一軍のマウンドに立っていた。
熱気が立ち込めるドームを支配する様な相手球団の応援歌にも負けず、流れる汗も気にせずに正面から戦う。

170cm前後の背丈で、鞭のようにしなる右手から放たれる球は鋭く刺してくるものだった。
高卒1年目にして2桁勝利を飾り、笑みの絶えないシーズンとなった。


「プロ5年目って早いなお前も。」

「小学校でいったら5年生です。」

「そりゃそやろ。」

2021年、プロ5年目。
選手サロンで隣同士に座り、軽食を取る月野木と柳田は呑気に会話を交わす。
相変わらず背丈は変わらない月野木はよく彼に子供扱いをされていた。つけ麺を食べながら、時折2人は顔を見合せて楽しげに笑う。

「そーいや、最近スカウト来てるらしいやん。」

「ギーさん目当てじゃないっすか?」

「俺なわけないわ。ネットでもAにスカウトマンがーって書かれてるし。実際お前凄いし、千賀の影に隠れた次期エースやん。」

「え〜?えぇ、へへ、そぉんなあ。」

彼の言葉に笑みが抑えられないようで、口角を上げながら嫌な程ニヤけた表情を浮かべる。
ガヤガヤと賑やかなサロンの片隅で、月野木のほんの少し引いてしまうような笑い声が宙を舞う。

「今の顔やばいで。」

「ふふ、んふふ、ギーさんに褒められるの嬉しくて。」

ポジションは違えど、チームメイトで存在感のある彼から褒められる事はやはり嬉しく、自信にも繋がる。
若ければ期待として目を向けられ、ベテランだと今までの功績もありよく取り上げられる。

曖昧で、中途半端な年数で上下関係に揉まれながらも必死に頑張る月野木の姿はチームメイトの心にも闘志を宿らせる。

「…お前は生涯ホークスでおってほしいけど、やっぱ向こうでも頑張ってほしいわ。こんな金の卵、世界に出さな宝の持ち腐れのままになる。」

「難しい言葉知ってますね。」

「舐めすぎやぞ。」

コツンと頭を小突かれても、月野木は心底楽しそうに目を糸のように細めて笑う。
少しだけアホで、それでもって格好良くて話が合う彼と一緒にいるのが楽しいのだろう。
笑顔が絶えない月野木は彼の隣でも、チーム全体でも馴染んで可愛がられ、好調続きに拍車をかける。

そんな楽しかった日々も、5年目から崩れ始める事になる。

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Hime(プロフ) - 好き、全員が幸せハッピーエンドの作品が見たいです… (11月26日 21時) (レス) @page35 id: 49f8a58ef1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年11月9日 22時

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