20 ページ20
漸く落ち着いた相原の為にシャンパンファイトの後シャワーを浴びた皆はまた集合して、相原を真ん中に集合写真を撮影した。
「僕の投球見て欲しかったな」
「ごめんね、最後まで見れなくて」
「日本でAとバッテリー組めただけでも僕は嬉しいから大丈夫だよ」
大谷は相原から離れようとしなかったが、少し離れた場所でホークスの4人の姿が見えると「行っておいで。話し終わったら僕の所来るんだよ」と相原の背中を押した。
ゆっくりと足を踏み出す相原は、牧原達の元へ向かう。
相原の姿を見た牧原は岡本と話していた内容を思い出して言葉を詰まらせた。
「A〜、お前大丈夫か?」
甲斐はいつもと変わらない優しい笑顔で相原の肩を組み、頭を撫でる。「まだAと野球したかったなぁ、短いな〜」なんて周東も寂しそうに相原に手を伸ばして頭を撫でる。
名残惜しそうに周東、甲斐、近藤の3人は相原を抱き締めて楽しそうに笑う。相原も笑っていたが、ふと牧原の表情が気になった。優勝したというのに暗い顔をしている。手を伸ばして、牧原の頬に触れると、彼も驚いた様子で相原と目を合わせた。
「どうしたんすか、暗い顔してぇ」
相原はいつもの様に少しおちゃらけた様子で牧原に問いかける。
「……絶対次も、次も一緒に野球しよ。絶対に…。次のWBC、絶対にお互い呼ばれるように…。負けんな、頑張れ、つらかったら何時でもいいから電話かメール送れ。そして次会ったら地元に顔出そう。」
相原を正面から強く抱き締めて、頭を撫でる。相原は察した、この人は自身の病気の事を知っていると。岡本と話している時にでも聞いたのかと。
チームメイトだった彼に知られたのはかなりつらいが、それでもこうやって次と励ましてくれて相原は牧原を抱き締め返す。
「…頑張ります。絶対に次も呼ばれるように好成績を残しときます。…そんで牧さんとまた地元帰って、…………っ…」
言葉を詰まらせ、しゃくりをあげながら牧原の肩に顔を埋めて泣き始める相原につられ、牧原もまた涙を流す。
「…絶対治せ。死ぬなよ。約束やからな!向こうで皆Aを見とるんやからな!」
「っ…はい!…皆に宜しく言っといてください。僕頑張るんで」
と大粒の涙を流して固い握手をする2人を見ていた3人は、何かあったのだろうとすぐに察した。きっと、相原に関するなにかだと。
それと同時に、相原の大泣きする姿を初めて見た為驚きでなんの言葉も発せず黙って眺めていた。
606人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お餅(プロフ) - 夢小説で初めて泣きました素敵な作品ありがとうございました (6月18日 23時) (レス) @page33 id: 8d7c7e252f (このIDを非表示/違反報告)
ツンデレ殿(プロフ) - 完結お疲れ様です。涙涙で頭が痛くなりました笑とても素敵な作品でした!!本当にお疲れ様でした!! (6月11日 21時) (レス) @page33 id: 62ded70eb4 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結お疲れ様です。正直、かなり泣いてしまいました笑笑 前作も読みましたが、凄く面白かったです。素敵な作品を、ありがとうございます。 (6月11日 11時) (レス) id: cf3b69c759 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宮 | 作成日時:2023年6月4日 13時