後悔をした。長く賑やかな、教室前の廊下で。 (ページ6)

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#6. ページ6

クラスメイトからは嫌われている諒希だが、他クラスからは相当可愛がられている
顔立ちのいい諒希を見逃すような人はそう居ないのだろう。諒希も相当の数告白されていたが、2年に上がり、光一にアタックする姿はもう皆も見慣れてしまい、諒希を応援する人も増えていた
その為か、諒希に告白する人は減り、諦める人ばかり

それでも諦めない人物が1人

──……お前、Aくんに少し当たり強いんちゃう

剛だ。
光一の隣を並んで歩いて下校する剛は諒希に言い寄られている光一の事が羨ましかった
何故俺じゃなく光一なんだと何度も考えた。確かに光一はルックスはいいし、なんでも出来る。光一を悪く言うことは絶対にない
それでも剛は、俺はタイプじゃなかったのかと少し残念そうにしていた。自分で言うのもなんだけど、俺もルックスはいい方なのに。なんて考えてしまう程

──あれでも少し普通に近付いてんけどな

──告白する子にあんなツンケンした態度、中々出来ひんよ

歩道を歩きながら、剛は"──はは、"と軽く笑みを浮かべた。心底羨ましいと、光一に嫉妬しながら
それでも、諒希は同性を好きになる事もあると知って望みを捨てていなかった。いつか、俺に振り向いてくれるかもしれないと毎日何気ない会話も続けていた

──……光一はAくんの事好きちゃうの

──恋愛感情一切無い。可愛い顔なんは認めるけど、それでなんやねんって思うねん

──Aくん、ほんまにええ子やねんけどな

──ええ子なんは分かったから。俺ほんまに男に興味無いから、どんな可愛くても靡かんわ

光一はそう言いながら剛に手を振った。この交差点で別れるのだ
「また明日」と別れの挨拶をすると2人ともそれぞれ反対方向へと歩を進める
大通りを歩く剛。何の変哲もない通学路。不意に曲がり角から出てきた人物とぶつかりそうになり、1歩後退る

──っあ、すみません

とすぐに謝る相手。顔を上げるとレジ袋を提げた諒希が居た
諒希も相手が剛だと分かるとほっと安心した表情を浮かべ、"──1人なん？"なんて、首を傾げて問いかける

──ん。さっき光一と別れてん

──そぉなんや、剛くんずっと光一くんと一緒やねんな

──まぁ、せやね

──…楽しそうでええなぁ

そう言いながらへらりと笑う諒希。ハッと我に返り、──じゃあ、また明日。と帰ろうとした道は剛と同じ方向
先を歩く諒希を追いかけると、重そうなレジ袋を掴んだ

──俺が持つ

気が利く男を演出したかったのだろう