後悔をした。長く賑やかな、教室前の廊下で。 (ページ4)

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#4. ページ4

無視はされているという剛の言葉に、光一は驚いた表情で剛を見た。
図書室の隅の椅子に腰をかけ、本そっちのけで剛の話の内容に興味を示していた

──体育の時も、パスが回って来おへんとか、話しかけてもガン無視されてるとかやねんけど

──大丈夫なん

──意外とケロッとしてんねんな、Aくん…。メンタルが鋼なんやろうけど、抱え込んでないか心配やねん

──…剛は話すんやろ？聞いてみたらええやん

簡単にそう言う光一に剛は"──ちゃうねんなぁ、"と少し呆れたように返した。
何が違うのか光一にはさっぱり分からない。聞いた方が早いだろうし、無視も止むかもしれない。頬杖をつき、剛の尖らせる口を眺めていた。

──そんな、聞きづらいやん

──聞きづらいって何やねん

──じゃあ俺がAくんと話してるうちに、Aくんの気が俺に変わったらどないすんねん

なんて、何とも自信過剰な剛の発言に光一は眉間に皺を寄せ、何を言ってるんだと言いたげな表情で剛をじっと見つめる。
"──それならそれでええわ"
光一は毎日告白される状況が無くならいいと、切に願っていた。
諒希の事を全くと言っていいほど知らない光一。正直、無視されるのにはそれなりの理由があるんじゃないかとすら思っていた

──そっかぁ

剛はそれだけを返すと、手に持っていた本を開き、長い長い文章を黙読し始めた
話は終わりか、と心の中でツッコミながらも光一も持っていた本を読み始めた

その日の放課後、教室から出てきた諒希とばったり遭遇した光一。彼の隣には光一の教室まで遊びに行っていた剛もいた
バチッと目が合う2人。そんな2人を眺める剛

また告白されるんか、と光一が少し面倒そうな表情を浮かべていると諒希は、嬉しそうな笑顔を見せた後、可愛らしく薄い手のひらを見せて手を振った

──光一くんも、剛くんも、じゃあね。また明日

幼く笑う諒希はそれだけを伝えると、1人でそそくさと階段へと向かった。キョトンと驚いた表情の光一と剛。まさか別れの挨拶をしてくれるとは、と。
剛は"──ちゃんと来いよ〜！"と笑顔になり、諒希の背中にそう声をかけた。少し離れたところから"──当たりめーよ！"と楽しそうな返事が聞こえてくる。諒希と剛の普段の会話だった

凄く仲の良さげな会話。
クラスの連中からは"──諒希と話すの禁止"なんて偶に咎められるが知ったこっちゃない

──ね、ええ子やろ

──…いい子ではあるかもしれんけど。

と光一は帰る為歩を進めた