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意識が遠のく中、蝉の鳴き声だけが、やけに耳に残っていた。
ep:00 ページ1
『努力をすれば必ず報われる』 なんていうのは、嘘だ。
努力によって秘めた才能が開花するというだけで、才能という器が空っぽな人間が努力したところで、越えられない壁にぶち当たる。
そもそも、努力をしてどうにかなるなら、わざわざ順位をつけて争う必要はないんだ。
――カチャカチャ。
「この世には努力しても報われない人間だっているんだよ。僕みたいに」
――カチャッ。
「まぁ、今となってはどうでもいいんだけどさ」
画面にエンドロールが流れ始めたのを確認すると、僕は握っていたコントローラーを静かに床へ置いた。
それから力なく背中を床にあずけると、ぼんやりとする視界で真っ白な天井を眺めながら、ゲームのことを考える。
今やっているゲームはもう何周目かもわからないくらい数時間ぶっ通しでプレイし続けたから、しばらく手をつけなくてもいいだろう。
まぁ、グラフィックもストーリーも悪くなかったから、またそのうち。
問題は次にやるゲームだが……ここ最近の新作はまだ買っていない。
過去の作品をやればいいかと思ってたが、
「明日給料日だし、せっかくだから次の休みにでも買いに行こうかな……そろそろ配信とかしないとまずいだろうし」
そんなことを考えていると、突然睡魔に襲われた。
このまま眠るのもありかと思ったが、じめっとした空気のせいで汗をかいていたことを思い出す。せめてシャワーだけでも浴びるべきかと思ったときには抗えず。
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作者名：藤宮 | 作成日時：2018年7月18日 12時
