寮母さん(仮) (ページ4)

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妹「もしもし、お姉ちゃん？お母さんから電話きてお父さん倒れたって聞いたんやけど。」

母は妹にも連絡していたらしく、心配して電話をくれたのだった。久しぶりに聞く妹の声に口元が緩んだが隠すように口元をきゅ、っと締めた。

「ぎっくり腰みたいで二週間くらい入院して安静にしてたら大丈夫やって。」

妹「あ、そうなんや。大きな病気とかじゃなくて安心した。お姉ちゃんそっちに暫く居れそうなん？」

「うん、居れる。…え、帰ってこんの？」

心の奥でこの6人と一緒に暮らすのは心臓が持たないと思い、帰ると言う言葉を期待して聞いてみた。

妹「お姉ちゃん居るんやったら私帰らんでも大丈夫やろ？今めっちゃ仕事とか予定とか詰めてて暫く無理そうやねん。」

淡い期待は無慈悲にも打ち砕かれた。
そもそも妹の仕事は教師だから夏休み前なのだから帰って来れるやん！と思い再度打診するとびっくりする言葉が返ってきた。

妹「そうなんやけど、現場で忙しいんよ。Aぇが全ツ決まってホテルの予約とか色々あるん！お姉ちゃんもYouTubeでも見て勉強して！当たったら一緒に行こう！」

……ん？今Aぇって言った？さっきどっかで聞いたぞと思い、顔を上げたらジェスチャーで「俺ら！」と教えてくれた。マジか。妹の推しだとは知らなかった。これ知られたら怒られるんかな、と思ったけど隠すのはと思い伝えてみた。もちろん、筆談で皆さんに許可は得た。

「……ってことで、一緒に住むことになったんよ。」

妹「まず下宿屋してたこと初耳やわ。でも、そっかー。お姉ちゃんにはいいんちゃう。社会人なってから仕事ばっかりでトキメキとか無かったやろ？ちなみに私的には福本大晴推しとくわ！」

怒るとか羨ましいとかもなく、淡々とときめき貰えば？と言われて福本さんをオススメされ、尚更帰らん！と謎の宣言をされ言いたいことを言って満足したのか切られた。

佐「…嵐のような妹さんですね。」

佐野さんの言葉に小さく頷き、その日は出前を取り明日の予定を聞きそのまま自分の部屋で眠りについた。妹を助っ人にするのは諦めよう、とひとり肩を落として。