【短編集】太平洋野球連盟

▽ Bs29 ページ8

◎Bs29 side


『大樹くん、』



すごく小さな頃から“近所だから〜”と仲良くしていた、俺とA。

同級生だったこともあって、直ぐに打ち解けた。


Aのその、はにかむような笑顔が可愛くて小さいながら淡い恋心を抱いていた。



でも、別れは突然で。


『大樹くん、あのね、
A、ひっこすことになったんだ…』


Aの家庭は転勤族らしく、小学校入学と同時に栃木を出ていってしまった。


『どうしよう、もうにどとあえなくなるとか、ないよね…』

「うん。だいじょうぶ。またきっとあえるよ」


別れ際、大粒の涙をこぼしているAを、俺はぎゅっと抱き締めた。

いま思い出すと「(我ながら何やってるんだろ…)」と羞恥を晒される感じがしたからできるだけ思い出さないようにした。




そして、中学校入学。

まだぶかぶかのブレザーに袖を通し、学校へ行き、名簿を確認した。


すると、“ A A ”の文字が。
しかも、同じクラス。



其処で、懐かしいAの匂いを感じた、気がした。








◐

まだまだつづくよ！

そして全然浮上できてなくてすみませんでした……(これからも低浮上だけど)

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