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『すぐる…いる?』
夏油「うん、いるよ。どうかした?」
『えへへっ、なんでもない』
熱のせいなのかいつもの5倍幼く見える。にへら〜と笑うその顔や私の裾を掴んで離さないままの手。私をしっかりと写しているエメラルドの瞳。
何もかもが君を好きだと思わせる道具にしか思えない。
『頭撫でて、』
夏油「そろそろ寝ないのか?笑」
『まだ寝な〜い』
要望通り頭を撫でると瞼が重くなってきたのか大きな目が段々と閉じていった。
いつの間にか辺りはオレンジに染まっていて、Aの赤くなった頬をさらに赤くしていた。それが神秘的で愛おしくて、だけどどこか消えてしまいそうなぐらい儚くて。
夏油「好きだ」
気がつくと言葉に出していた。
直ぐに口元を抑え、誤魔化そうと頭をフル回転させるがいい言い訳が思い浮かばない。
夏油「あ、えっとこれは……」
1人で挙動不審になってベッドに横たわっている彼女を見つめると規則正しく寝息を立て、さっきの言葉は聞いていないようだった。
良かった、と安心する反面聞いて欲しかったという気持ち反面。恋はこんなにも面倒くさいものなのかということを改めて実感した。
五条「おーい傑。硝子が呼んでる」
夏油「今行くよ。ありがとう」
いつの間にか裾から離れていた手を名残惜しく見つめたあと、悟の後をついて行った。
・
・
『(何あれ何あれ何あれ何あれ!!!!!)』
傑が出ていって5分。さっきのことを思い出していた。好きって言った?言ったよね?私のことが好き?恋愛対象として?でも雰囲気的にそうだよね!?
正直、傑のことをどう思っているか分からない。でも好きだと言われて嫌じゃなかった。寧ろ嬉しかった。その証拠に私の心臓は張り裂けそう。
男性と付き合った経験がないからか、はたまた“恋”というものを経験したことがないからかは分からない。
ただ言えることは1つ。
『……もっとそばにいて欲しかった』
つくづく私は面倒くさい女だと思うよ。
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ヴィランになっても
新作です!!ヒロアカの映画上映して公開します!
2日か3日前ぐらいに出来たばかりのホヤホヤなのですが見てくれると嬉しいです!
空白
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作者名:空白 | 作成日時:2021年6月9日 23時