ヴィランになっても (ページ27)

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『すーーはーー…』

「深呼吸しすぎ。もう行くよ？」

『ちょ、待って真由！』

教室の前で深呼吸をしまくっていると痺れを切らした真由が強引に中に入れた。私の隣が勝己だってわかってて言ってる？

『お、おおおはよう勝己！』

「おー」

…あれ？普通だ。やっぱり私が意識しすぎてただけなのかな？でもそれはそれで傷つく…私のこと何とも思ってないってことでしょ…

「おい」

『…ん？あ、どした？』

「放課後予定あけとけ」

『？？？わかった…？』

何々…怖いんだけど。
もしかしてカツアゲされる？私にカツアゲなんていい度胸だなぁ？受けて立つ！！

…って、カツアゲされる可能性は0に等しいけど。

『真由、遺骨は拾ってね』

「え？なに？」

『ジーニストが捨て台詞にはこれ言うといいって言ってた』

「あんたジーニストに影響受けすぎ」

いつも通りの会話をしていつも通りの私を取り戻す。いつも通り皆と話していつも通り授業受けて…あれ、いつも通りってなんだっけ。

そんなこんなで放課後。マジで緊張してる。私何されるんだろう。

「着いてこい」

手首を掴まれて引っ張られた。普通は痛いんだけど痛くない…勝己なりの優しさなのかな？

ついた場所は校舎裏。ここ…私が勝己にチョコ上げた場所だ。

「…やる」

『え、これ』

「黙って受け取れクソが！」

『わっ、びっくりした…』

急に大声出すもんだからびっくりしちゃった。
勝己から貰ったものをよくよく見ると最近駅前にできたって人気のチョコじゃん！

『え、これいいの！？』

「先月のお返しだよ」

『先月…？』

「テメェ覚えてねぇのか？バレンタインだよ」

先月…バレンタイン…
あ、そっか！今日ホワイトデーか！だからこれくれたんだ！そういうことね！

バラバラだったパズルが合致した感覚がして何処かスッキリした。

『ありがとう！』

「…別に」

『…あっ、ジーニストから呼び出し…も〜人遣いあらいんだから…ごめんね、行かなきゃ』

勝己から貰ったチョコを丁寧にバッグへ入れて仕事用のスマホでジーニストにすぐ行く、とメールを送った。

「おい」

『ん？どした？』

スマホから目を離し、勝己の方へ視線を移動させると真っ直ぐな瞳で私を見ていた。

「…きだ」

『え？ごめん、よく聞こえなかった』

「チッ……好きだって言ってんだろ。1回で聞けや！」

『ご、ごめ……え？』

私の体の全ての機能が停止した。

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