【赤葦京治】こっち向いて？【HQ】 (ページ35)

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story34 ページ35

＿十数分後

～♪

手の中のスマホが震える。

画面を見れば、［木葉秋紀］の文字。

迷わず通話ボタンをタッチする。

「A…駅まで…来た…けど…どこ…いんの…？」

走ってきてくれたのだろうか、

途切れ途切れになっている秋紀の言葉。

『えっと…中央口出てすぐのところ』

「りょーかい。」

ツー、ツー。

通話終了の文字が表示され、ホーム画面に切り替わる。

たくさんの通知が来ていた。

１０中９と言ってもいいくらい、

それはほぼ京治からのものだった。

だけど、到底話す気にはなれない。

私は見なかったことにして、スマホを握りしめた。

秋紀が見つけやすいところに移動しよう。

そう思い、顔を上げてみると。

「ねぇ、君可愛いね。

俺らと遊ばない？」

大学生くらいの二、三人の男に囲まれていた。

怖いし、面倒くさい。

(ナンパ、か)

『結構です。

あの、これから予定があるので…』

(距離、近いし…)

秋紀が早く来てくれるのを願うしかなかった。

「えー、彼氏？」

［彼氏］そのワードに体が反応してしまう。

『え、いや…』

これはどう言うべきなのだろう。

＿彼氏です、って嘘をつく？

友達です、って言う？

それとも、逃げる？＿

…どれも正解な気がしない。

考えるほどに、分からなくなっていくばかりだった。

(誰か…)