あまくて、ずるい、きみのせい (ページ25)

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夏祭り…かぁ

図書室からの帰り道、あべくんの言葉を巡らせる

毎年たっちゃんと行ってたな…

あ、違う違う…ふっか、ふっか！

なんだっけ…私の足が遅くて、怒られてたっけなぁ

「ねぇ…まって、たっちゃん…」

『やぁだ』

私はいつもたっちゃんの後をちょこちょこ追ってて

いじわるなたっちゃんはいつも待ってくれなくて

「…っ、おいていかないで」

「たっちゃん…！」

でも、最後は

『もぉ。しょーがないなぁ』

『おいで…乃愛』

いつも手を引っ張ってくれた

いや、…いやいやいやいや！

なにノスタルジーに浸っちゃってるんだ…

なんでもない、なんでもない…

うん、なんでもな

「いっっっ、たぁ…！」

「いやいってぇのはこっちだわ…って、あぁ。妹」

「渡辺…さん？」

「え、なに。渡辺さんとか固すぎでしょ。翔太でいいよ」

「…翔太、先輩」

「んー…まぁ合格」

なんで？なんで渡辺…翔太先輩がここにいるの？

別にいちゃいけないとかそういう訳じゃないけど、一応ここ、理系科目の授業多めの棟だから…

この人、たぶん理系じゃないよ…ね

「ふ、なに。そんな俺の事見て。惚れた？」

「…っ！違います！！！」

「ふはははぁ…あー、おもしろ。お前いいなやっぱ」

…どういう意味ですか、それ

「あ、つかお前次授業あんの？」

「…ない、です。今日は午後だけ」

「真面目か。午後だけのやつがなんでこんな朝からここ来んだよ。大学だいすきかよ」

「…ちょっと、人を探してただけです」

「………それって、ふっか？」

「…はぇ？」

…なんで、なんでここでふっかの名前が出てくるの？

「あれ、違ぇんだ？あいつんち朝行ったんだけど寝不足でこの世の終わりみてぇな顔してたから。今日朝から講義あったけどブッチして小一時間ぐらい寝かせたんだよ」

「だ、大丈夫なんですか！？！？」

眠るのだいすきたっちゃんが寝不足とか…

「ふは、なに？心配？」

ひょぇ…っ！？

思わず…条件反射で、

「だったら見てくれば？さっき保健室に運んだとこだから。なんか知らねぇけど、今日に限って大学大学うるっさくてさ。お前と一緒だな。そんなに好きか？ここ」

あ、だからここにいるんだ…

この真下、保健室だったもんな

「ほら、行ってこいよ。可愛い妹がいたら、あいつもちょっとは良くなるんじゃね？」

ニヤニヤしてるけどごめんなさい、翔太先輩

たっちゃんに限ってそんなこと…ないんです