あまくて、ずるい、きみのせい (ページ24)

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軋む歯車ページ24

「ごめんなさい！！！」

『へっ…！？』

朝一番、講義が始まるまで駆け回った広すぎる大学

その理由はもちろん、あべくんを探すためで

何度も迷子になりながら、やっと見つけた目的地

＿＿俺、理系なんだけど小説とか大好きでさ。この大学を決めた理由の一つが図書室だったんだ

昨日聞きたてほやほやのあべくん情報

頼みはそれしかない！ここにいて！あべくん！！

恐る恐る扉を開くと、朝日に囲まれながら楽しそうに本を読んでいるあべくんがいた

…よかったぁ

至福の時間を邪魔してしまうのはどうも申し訳ないけれど

せっかくできた友達だから…あべくんだから

失いたくない

謝りたい

『…そ、それはさ、友達もやっぱりダメっていう…』

「へっ…え？違う違う違う！昨日、変なことに巻き込んじゃったから」

『…あー、うん』

『まぁ…気にしないって言ったら嘘になるかな』

だ、だよね…

『昨日の、深澤先輩…だよね。佐久間から聞いちゃった。…やっぱり、ふたりはただの幼馴染じゃないよね？』

いつでも真っ直ぐなあべくんの目

昨日はプレゼントみたいだなんて思ったけど、今は全てを見透かされてるみたい

でもね、ほんとに違うんだよ

違うのに…

否定したいのに…

言葉に出来ない

『あー…ごめん！そんな顔させたかったわけじゃなくて…むしろ、』

『俺が頑張ればいいだけでしょ？』

『確かにモヤッとはしたけど、今のはいじわるしたかっただけ。乃愛ちゃん、嫌いじゃないでしょ？そういうの』

バ、バレてる！？

なんで、…理系男子は人の心までデータから算出できるの！？

それとも、あべくん…エスパー？

『あはは。分かりやすすぎだよ乃愛ちゃん。ぜーんぶ顔に出ちゃってる』

「えっ…！えっ！？」

『ふふ、うん…かわいい』

ピタ、と頬をぺたぺたと触っていた手が止まる

…あべくん、それもいじわるの一つなの？

『と、言うことで』

「…は、はい！」

『来月の夏祭り、一緒に行きませんか？』

『ふたりで』

へっ…？

そ、…そそそれは、

『うん。デートのお誘い』

「んぐ…っ！？」

図書室に誰もいなくてよかった…

あべくんも、私のあまりの声の大きさにくすくす笑ってる

恥ずかしいからやめてください…

『今すぐ返事が欲しい、とかじゃないから。ゆっくり考えて』

『ただ、出来れば、…嬉しいのがいいなぁ…なんてね』

あ…あざとい

そして、かわいい

加えて、いじわる！