あまくて、ずるい、きみのせい (ページ1)

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夢のキャンパスライフページ1

『はよ、乃愛』

「あ、めぐ。おはよう」

学生生活で使う最初で最後の言葉、キャンパスライフ

義務教育やら、受験やらを経てやっとたどり着いた大学生は、ずっと憧れの世界だった

そして、今日はそんなキャンパスライフの第一歩の入学式

あちこちでひらりと桜が舞っている

『ふは、お前スーツに着られてんな』

「え、そんなことないよ！ちゃんとお似合いだよ！」

『いや、自分で言う？お似合いとか』

「だってめぐが！」

『はいはいごめんて。朝からそんな怒んな』

朝から怒らせてきたのはそっちのくせに

私の頬をむにむにとおもちゃのように扱う彼は、目黒蓮
通称、めぐ

高校生からの友達で、私とは違ってサッカー推薦で合格をもらっていためぐ

そのため学部は違うけれど、知っている顔がいるというのは、やっぱり安心する

···こんなやつだけど！

『俺らも大学生か』

「もう一年したらお酒飲めちゃうよ…」

『ふは、なに。やなの？』

「嫌…ではないけど、なんか怖いじゃん？味はジュースと同じようなのに、アルコールが入ってるだけで全然違うんでしょ？」

『まぁそう言うよな』

「だから、初めて飲む時は自分が弱いか強いかも分かんないし」

『お前にはジュースの方がお似合いだもんな』

「もう！めぐ！」

お腹を抱えながら、ケラケラと笑うめぐ

そんなに私って子供っぽいかなぁ…

確かにめぐから見たら身長は低いだろうし、誕生日も遅いけど

それでも、そんなに笑う？って言うぐらいに駅のホームで大爆笑

おかげで、視線が痛いです

『はー、笑った。んじゃあさ、初飲酒付き合ってやるよ』

「めぐが？」

『そう。俺の前だったらぶっ倒れてもいいだろ？もし弱かったら家連れて帰れるし、強かったらそのまま一緒に飲もうぜ』

「え！ナイスアイデア！さすがめぐ！」

『うわ、都合のいいヤツ』

めぐにグーサインを突き出したと同時に、待ちわびていた電車がやってきた

高校とは違って、自分の取る講義によって変わる朝の時間

嬉しいような、ちょっと悲しいような

…なんだかすごく擽ったい

「はっくしゅん！」

『あー、花粉症か』

「…めぎゅ、ティッシュ…ポケット、」

『はいよ』

毎年ブレずに感じる春の訪れを体感したところで、背筋をピシッと立てて電車に乗り込む

隣のめぐが『やっぱり七五三だな』とかまだボヤいている

テクノカットによりちょうど空いているおでこに一発デコピンをかまして、大学生活初日が幕を開けた