その先も君と【MIU404】 (ページ9)

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4.雨に降られてページ9

「うわぁ、ずぶ濡れ」

仕事帰り、突然雨に降られた。

天気予報では雨降るなんて言ってなかったから傘なんて持ってないし……とりあえず近くにあった小さなカフェに駆け込んで雨が止むのを待つことに。

「いらっしゃいませ」

「カフェオレ1つ、ホットで」

かしこまりました。
そう言って店の奥に入っていく店員さんの後ろ姿を眺める。

店の中はコーヒーの香りに満ちていて、さっきまで雨に降られて憂鬱な気分だったのに、なんだか幸せな気分になってきた。

「お待たせいたしました。
どうぞ、ごゆっくり」

会計を終えたらカフェオレと一緒にタオルを差し出してくれた店員さん。
ありがとうございます、と会釈をしてタオルを受け取り席へと向かった。

「あっ、おいしい」

口に含んだカフェオレは、雨で冷えた身体をあっためてくれる。
タオルで鞄を拭いて、髪を拭いて。
カフェオレを片手に少し仕事を片付ける。

そんなこんなで1時間以上がたったけど……

「むしろ、強くなってない…？」

雨はどんどん強くなっていて、止む気配がない。
ザーザーぶり。

ここから家まではまだ少し距離があって、この土砂降りの雨の中を突っ切って帰るのは躊躇われた。
だけど家には帰りたい、こうなったら覚悟を決めようと席を立ち上がった。

「ご馳走様でした。
タオルも、ありがとうございました」

「まだ土砂降りですけど…大丈夫ですか？」

「はい、家近くなので」

そんな見栄を張ってカフェから出る。
だけど目の前にするとやっぱり足が竦むなぁ…なんて。

「よし、行こ」

そう足を踏み出した時、車のライトが雨を照らした。
そしてその車は…あろうことか私の目の前で止まったのだ。

「…一ノ瀬？」

「！」

車に乗って現れた彼は、まさに救世主だった。