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「…」
「…」
「…」


バカなことをした。
また、パーを出してしまった。グーを出していれば2人に勝てたのに…。

何が嬉しくて、30分も腕を組んで不機嫌そうに座る刈谷さんの隣にいなければならない。
赤信号の度に前の2人がニヤニヤした表情で振り返ってくるのが屈辱的で、すっごい、もうすっごいイラつく!!二人とも嫌い。大嫌い。

そう思っていたが10分も経てば無になるという技を身に着け、気が付けば目的地の不自然死究明研究所、通称UDIラボに到着した。
UDIラボは半官半民の法医学センターで急ぎだとここで解剖することが多い。


後ろのリヤドアを開けて刈谷さんと田島さんが降りる。
やっと気まずい空間から解放され、私は勢いよく息を吸った。車内だろうが何だろうが空気が気持ちいい。
ほっと一息ついて私達も降りようとすると

「お前らはここで待ってろ。」

「え?」
「解剖終わるまで5時間あります。一緒に行った方が……」

「足手まといのアッシーなんだから待ってろよ!」


とまた古臭い言葉を使って行ってしまった。
私達だって捜査権利はあるのに、なんて身勝手な。捜一様はそんなに偉いものなのか!?
…機捜よりは優秀か。


「どうした、そんなぶすっとした顔して」

運転席からからかってくる声が聞こえて、私は最上級に睨みを効かせる。けど効いてない。
あんな顔で赤信号になる度振り向かれたら怒りたくもなるだろ。


「志摩さんキライ」
「志摩ちゃんフラれた!!!」
「伊吹さんもキライ」
「俺まで!?」
「残念だったな」


そっぽ向いて視線を下げると偶々私の視界に黒い鞄が入る。もしかして…


「あ!!」
「どしたー?」
「刈谷さん達荷物おいていってます、しかも資料入ってる」
「マジ!?ラッキー見ようぜー!!」
「バレないように戻せよ。」
「了解です」
「合点承知之助ー!」


荷物から捜査ファイルを取り出して資料を一枚一枚確認する。
内容は堀内についてみたいだ。2008年に傷害罪で逮捕された後2010年に釈放され、2011年に今度は窃盗、傷害及び強 姦未遂でまた逮捕、5年服役。
初犯当時の担当刑事は…蒲郡慈生警部補。

どっかで聞いたことのある名前だな。


「伊吹さん」
「んー?」
「この蒲郡警部補って…」
「ああ!!!」
「え?」

「俺たちモッてるわー。
 堀内が最初に逮捕されたのが茨城県警。その当時の担当が蒲郡慈生!」
「がま……伊吹の恩師の?」
「あー!!」

「イエス!ガマさん!!」





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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時

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