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初動捜査の結果を所轄の方々に志摩さんが報告してくれたのだが、まあ、彼らのやる気のなさが滲み出ていた。あ、間違った、溢れ出ていた。
私達が契約者の山中誠二を当たろうとすると、聴取が面倒だったのか所轄に奪われて
「ここはよろしくお願いします。」
と責任転嫁の如くそそくさとここを立ち去って行った。
「所轄やる気ねーな。」
「自 殺だと決めつけてましたもんね。」
「…伊吹は?
どう思ってんの」
志摩さんに聞かれると、伊吹さんは何か企むような顔をして、口角を上げて振り向いた。
「俺はねぇ、ニャンか気になる。
ニャンかの気配を感じる。きっとニャンかある!!」
「珍しく気が合うな。俺もただの自 殺とは思えない。」
「はい、やり直しー。そこは、
“ただの自 殺とは、思えニャい”」
「そこまで気は合わない。」
「なんでもいいので早く行きましょう。聴取。」
「はいにゃ!」
2人を連れ添うような形で先頭を歩いていたのだが、聴取する相手を見つけて私は顔を引き攣らせた。
テントで待っていた人は全部で3人。しかも全員個性的で、なんか、嫌な予感。
高校生くらいの2人はBABYMETAL?のグッズTシャツを着ていて、もう1人の女性は着物のようなコスプレをしていた。偏見だけど、ヤバそうな人しかいなそう。わー、ほんっと面倒な予感してきた。
「なんかすごいの出てきたね。」
「たのしみだなー。
おいA後ろに隠れるな」
ばれないように後ろに回ったつもりだったのに、志摩さんに背中を押されてまた先頭を歩く羽目になった。
伊吹さんと私は高校生くらいの女子二人に話を聞くことになったのだが…
荷物を取りに来た2人は7番の部屋から悲鳴が聞こえたらしくて、見に行ったら“幽霊”を見たと証言した。
うん、すっごい信じがたい。どうしよう。嫌な予感が的中した。
ため息が出そうになるのを何とか飲み込んで、2人の顔を見やる。
「とりあえず住所と名前を教えてください」
2人はさっきまで幽霊幽霊と騒いでいたのに、言いたくないのか一気に押し黙った。
「おけ、じゃあ、名前は?」
「スゥメタルデス!!」
「モアメタルデス!!」
「伊吹メタルデス!!」
「…伊吹さんノらないでください」
多分2人は家出少女だな。
「うん、Aちゃんここは任せた」
「は?」
というと伊吹さんは志摩さんのところへ行ってしまった。思わず頭を抱えそうになる。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月18日 17時