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「Aちゃんの言ってた跡ってこれ?」
「そうです」


2人と合流して、見つけた跡について説明をする。
意外にもお咎めはなく、怒っていると思ったのは勘違いだったようだ。よかった。


「で、Aさんはどこまで気づいてるの?」

「証言から犯人は被害者のポケットから鍵を盗って、車か車の中にあった何かを奪ったのではないかと思いました。そこで後足からパーキングに向かったと予測して」

ここに来ました、と告げると志摩さんの考えと大方合っていたらしく「そう」とだけ言って2人はパーキングの中へ入っていった。
私も後を追って中に入ったのだが……
伊吹さんが赤い車を見て立ち止まった。


「ねえ、これさ、昼間のあいつの車じゃない?」
「煽り運転の?
 …確かに車のナンバーが同じだな」
「開いてる…」


今朝の伊吹さんの喧嘩相手だろうか。
手袋を取り出して身に着けていると伊吹さんがニコニコしながらこちらを見ていた。


「なんですか」
「Aちゃん片っぽ貸して!」
「えっ、持って来てないんですか…」
「うん!」


おお、すごい。
図々しくて最早凄い。
褒めたいくらい。
年上とか何も関係ない。
本当に凄いこの人。
この人の前だと語彙力なくなる。
本当に凄い。


「Aさん無理に貸さなくていいよ」


貸さない理由は……無いな。
探したけどない。逆にこの人が忘れたせいで貸す理由が見つかってしまった。
一息ついてから志摩さんに返事をする。

「いえ、平気です。
 伊吹さんどうぞ」
「さんきゅ!」

2人が前の席を確認している間に後部座席とトランクを確認する。
荒らされたような形跡が無いどころか荷物が全くない。特にこれといったものはなさそうだ。


「後ろ確認しましたが何も無いです」


了解、と聞こえたため扉を閉めて伊吹さんに近づく。
志摩さんのいる助手席のシートには血痕がベッタリとくっついていた。


「血の跡…犯人がここで膝をついた」

「あ、やっぱり昼間の髭男」


伊吹さんに免許証を見せられる。
昼間と言われても見てないからわからないがそうなのだろう。
…志摩さんが頷いてるから絶対そうだ。


「ん…?」

「Aさんなんかあった?」

「今朝、この車ってドライブレコーダーついてましたか?」


車のフロントガラスを見ていると、バックミラー近くでUSBケーブルが宙に浮いているのを発見した。ドライブレコーダーがついていたのだろうか。


「あ…Aちゃんそれビンゴだよ!!!」





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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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