のんきな猫と死にたがり (ページ4)

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聴取を終えて現場へ戻り、4人で次々と報告をしていく。
被害者の持ち物は小銭入れのみで、身元の分かるものはなかったようだ。
人定はできないか…。
目撃者は誰も犯人の顔を見ていないようで、前足もわからない。それでも少ない情報をもとに仮説を立てると、犯人の目的がうっすらと見えた。

車だ。

「俺たちパーキング見てきます。
　被害者はいつも身軽で小銭入れか鍵だけ持っていた。鍵まで店員が覚えてるってことは手に持ったまま入って来た日が何度もあった。
　手に鍵を持っているってことは、よっぽど家が近くか……」
「車で来てる…車のキーか！」

陣馬さんにうなずく。

「犯人は被害者のポケットから何かを握って逃げた。財布のような大きいものじゃない」

「盗んだのが車のキーだとしたら、車を盗むのが目的か…」

「車の中に何か置いていた可能性もあります。この辺りでパーキングは一か所だけ。
　しかも、犯人が逃げた方角にある。」

「そういえやぁ…嬢ちゃんはどこに行ったんだ？」

陣馬さんに言われてはっと気が付く。
さっきまで電灯の下で聞き込みをしていたのに姿が見えない。
あー…隊長の言っていた通りだ、一瞬目を離しただけですぐに姿を晦ませる。
自分勝手な奴は伊吹だけじゃなかった。怒りで何かに八つ当たりしたくなる所をなんとか押し留めてAへ電話を掛けた。

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目撃者の証言から、犯人は車のキーを盗んだと予想して逃げた方角のパーキングに来た。
写真フォルダからさっき撮った看板を確認する。

看板の4つ角には針金が通りそうな穴があり、パーキングの金網には無理やり剥がされたような傷があった。しかも、ちゃんと4か所。

確定だな、

また写真に収める。

パーキング内の防犯カメラを見るため中に入ろうとしたのだが、手元で"ブー"っとスマホが振動した。画面を見ると"志摩一未"の文字が表示されている。
なんだろうと思って通話ボタンを押すと、

『Aさん、今どこにいますか』

男の人しか出せない低さの…怒っている時特有の声が聞こえた。
怒らせるようなことをした覚えがないのだけれど。

「今は現場付近のパーキングに来てますよ。凶器の看板を持ち出した跡を見つけたんですけど、どの車だろうって探してて…
　あ、車っていうのは」
『いいか、そこを絶対に動くなよ。何があっても動くな！！』

一方的に切られる。
とりあえず怒られたくはないため金網の前でじっと待つことにした。

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