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私たちは5人で付近の防犯カメラを回収して、隊長が作ったスパイダーという映像解析チームの糸巻さんに渡した。

しかし、昨夜中に何か進展が訪れることは無かった。









とうとう日付が変わった。私たちに残されたタイムリミットは残り9時間弱。
見つかる気配のなさに伊吹さんは腕を頭の後ろで組みながら退屈そうにしていた。



「…伊吹さんさ、もし容疑者車両見つけても昼間みたいな無茶やめろよ。」

「合点承知の助ー!」

なにやらもう現代では使われなさそうな死語が聞こえた。しかも超棒読みで。
絶対右から左に流してるなこの人。


「麻布中央署にいたとき、犯人タコ殴りにしたって本当か?」

「んー、ありましたねー、そんなことも。」

「やめろよ。
 あんたが不祥事起こせば俺達にも陣馬さんにも隊長にも迷惑かかる。」
「俺だってもう懲りましたよ。
 始末書何十枚も書かされて、飛ばされるわ、怒られるわ…」


そんなの当たり前だろう。
自ら面倒ごとを起こしているなんて考えられない、
いや、私も少し心当たりがあったから言い返すのはやめておく。


「あん時は拳銃まで出しちゃったんすよねー」

「はぁ?」
「うそでしょ…」

「犯人がクソみたいな真似すっから。もう撃ってやろうかと思って。」
「思うなよ、軽々しく!」

「えっ?銭形警部とかあぶない刑事とか、憧れなかった!?ほら、バンバン撃つとかさ!」

「現実の刑事は9割が引退まで拳銃を抜かない。撃たないじゃなくて抜かないんだ。それが日本の警察。」

志摩さんに同意する。
拳銃を出すなんて、感情が高ぶっている時に一番してはいけないことだ。それこそ職権乱用。
ドラマやアニメに憧れすぎだ、悪い意味で少年心を忘れていなくて聞いて呆れてしまった。


「もっとラフでいいのにね。」

「"いいのにね"じゃねぇよ。
 Aさんは勝手な行動はやめてください」


ギクッと肩をこわばらせる。恐る恐る顔を上げるとミラー越しに目が合った、ような気がした。

「え、Aちゃんもなんかやったの?」

「噂程度に聞きましたけど、所轄の刑事課にいたんですよね。
 刑事課にいて検挙率はトップだった。」
「なにそれ優秀じゃん!!」


褒められるとやっぱり気分が上がる。
でも一応謙遜でもしておこうと
「いやいや、そんなことないですよ」

「そうだな。伊吹さんと同じように問題児だもんな」

私は再度肩をびくっと震わせた。






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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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