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車が走っている最中は目が合わないけどその分声に重みがある。
やっぱり電話越しに感じた怒りは勘違いじゃなかったらしい。


「仕事中に姿を消すことがよくあったそうですね」

「あー、今日もあったね」

正直自覚はない。
逆に私の相棒がいつも姿を消しているのだ。
…それを言うと何か嫌なことが起きる気がして口を噤んだ。


「どんなに結果を残していても、相棒に何も告げず単独行動をするのは危険だ」

さっきとは少し違う声色に感じて外の車を見ていた視線を志摩さんの方へ移した。
表情は見えずとも、胸が苦しくなるような
「二人も野生児がいたら困るんだよ。
 なので伊吹さんもAさんも勝手な行動は控えるように」

あ、勘違いか。
やっぱり怒ってる。
それ以上沸かないように、慎重に言葉を選んで
「善処します」
と伝えた。


___



その後も何も展開はなく時は過ぎ、とうとう夜が明けてしまった。
太陽は既に登って青空が見える。時刻はもう7:00手前。

伊吹さんが車を降りて、近くのファストフード店へ朝ご飯を買ってきてくれた。

「Aちゃんは紅茶顔してるから、はい!紅茶ね!」

「ありがとうございます…?」

紙コップとハンバーガーの入った箱を受け取る。
4月と言っても上旬の朝方は冷えるため、手を温めようとコップを握りしめた。


「これだと溢れるだろうが」

「えー、じゃあ飲み干しちゃえば良くない?」


伊吹さんの言葉に納得したけど猫舌で飲みきれなかったため、蓋を閉じたその瞬間、
ふいに窓の外を見ると反対車線に私たちの追ってる同車種を見つけた。


「志摩さん反対車線!!
 白いステーションワゴンです!!」


2人が食べ途中のハンバーガーを慌てて箱に詰めて急いで白い車を追った。

それでも少し遅く、間に何台か挟んでしまったため先にあるはずの白い車が見えづらい。
数分その状態でいると左に曲がって行くのを捉えて、私たちも白い車が入っていった店に車を止めて運転手を探す。
伊吹さんが運転手を見つけたようで404号車に戻り照会を待っていると、志摩さんの携帯が鳴った。


「もしもし」

『糸巻です。白い車ですが後足を追ってみたらナチフシードと言う会社に入っていきました。
 ナチフシードは健康食品の通販の会社で調べてみたら大型の白い車を社用車として登録しています。』

「社用車…
 犯人の本当のナンバー分かったってこと?」
『登録ナンバーは品川2文字、数字300、平和のへ、2401』

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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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