[短編集]Everyday life with you[wrwrd][完結]

関係が拗れてみた ページ44

(敵と味方に分かれた城内。嗚呼ヒリつくなぁ。辛いなぁ。)
＿＿

信頼など泡沫の夢の続き




グルッぺン


グ「お前に傷害の疑いがかかっている。疑いが晴れるまでこの部屋に近づくのを禁ずる」

鋭い声色。彼から壁を作られた事実が辛くて、でもどうしようもなく仕方ないことで。
『仰せのままに』と頭を下げ、部屋を後にした。
部屋を閉じれば途端に歪む彼の顔、貴方がそんなことするはずないと分かってるのに。
敵を騙すにはまず味方から、一言心の中で許しを乞うた。
「……静かやな」
静まり返る場内に、思わず零し外を見つめた。









トントン


ト「この書類今日中にな」

交わることのない視線、指さされた先の書類の量が多いこと
こんな量はとても久しぶりだろう
しかもどれも貴方と彼しかまとめ方を知らないものばかり
誰にも頼ることが出来ない
『今日中はムリかもしれない』なんて言える訳もなく
『善処する』と答えればじろりとこちらを見上げた
物理的な攻撃はないものの態度で表してくる、貴方は部屋を出て苦笑を零した









鬱先生


鬱「…視界入ってこやんといてや」

笑いもしない光も見せない瞳。
彼の煙草の煙が口に入り、耐性がなくて思わず咳込めば更に鬱陶しそうな表情を見せた。
『ケホッ、ご、めん…すぐ、行くから…』
涙目のまま彼を見れば、その場に置いていく背中
寂しい筈なのに少しだけ、手を出されなくて安心してしまう自分もいて。










ゾム


ゾ「大丈夫か！？何もされてへん？」


貴方が青色と一緒にいる姿をみた彼は慌ててその場に現れた
一体彼の通路(ダクト)はどうなっているのかと思うほど危険を察しては駆け付けてくれる。
力が抜けて『大丈夫やで』と笑いかけても彼の表情は不安げなまま
「…俺が絶対守るから、やから、諦めやんといてな…」
両頬を包まれ額を合わせる。
何度も何度も、同じ呪い(まじない)を唱えてでも
貴方に生きててほしいのだ。













シャオロン


ｼｬ「…Aは、なんもしてへんよな？」


恐る恐る尋ねるその言葉は紛れもなく疑い
彼もか。耐えきれず乾いた笑いを見せれば、彼はサッと青ざめた
「あっ…ちゃうんよ！信じてへんとかちゃうくて…！」
『じゃあ、なんなん…』
「…ごめん、俺は信じとるよ」
彼の頭に浮かぶは「またAさんにされたんです…」と見せられた何個も付いた傷達
違うなんて分かってるのに、信じてるのに、どうしても不安になってしまうのだ。

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