アンビバレンス(kn) ページ25
憎い。嗚呼憎い。
平和に笑う貴方たちが、私に幸せを教えた貴方たちが。
ゆらりと城内を歩く私とすれ違う人はいない。
涙の痕がまだ残る、頬を触れればカサつくような感触。
私は、ここの人でもないのに
何故皆して心配をして、抱き締めてくれるのか。
不甲斐なさとどうしようもない何かに
また涙が溢れた。
.
＿＿＿＿＿＿＿
＿＿
コ「…！おー、どないしてん」
眼鏡を外して本から視線を外す水色の瞳。
こちらを向いた彼は様子がいつもと違うことにすぐ気づいた様子。
本を横に置いて自分の隣に座ることを雰囲気で促している
このまま座ればいつものように、彼なりに慰めてくれるだろう
けれど、それが今はどうしても受け入れられない。
いらない。施しのようなその優しさなど今はいらない。
『ーーっ…！』
コ「！」
奥歯を噛み締め、彼の胸ぐらを掴みにかかる。
そのまま押し倒し馬乗りにすれば隙だらけの体は存外簡単に下敷きとなった。
爪が食い込むほど握り締めた拳を、躊躇いなくそのまま彼に振り下ろす
コ「っ、あ、ぶね」
掴まれた拳
攻撃は難なく防がれる。
じんわりと、彼の温かさを冷えた手から感じて
急に状況を把握し始めた。
すっと心が冷えていく。
と同時にぽたぽたと、小雨のように零れる涙が彼を濡らす。
＿ごめんなさい
一言呟けば、彼の手に引かれ抱き締められた
そのまま縋りつけば、彼は「泣くか殴るかどっちかにせえ」と悪態をつきつつ背を撫で始める
優しい手、優しい声色
悩んでいたものを洗い流すように優しさが包み込んでいく
怨めしいほど憎い貴方たち
けれど、そんな彼らがどうしようもないほど愛おしい。
『…何時からそんな優しい事、出来るようになったん？』
皮肉を込めて笑えば、「喧嘩売っとんのか」といいつつ彼も笑った。
どこか安堵したような瞳にもう一度謝れば、撫でていた手が今度はあやすようにぽんぽんと叩き始めた。
コ「そういう気分もあるわ」
殴りかかるような気分があっていいのか甚だ疑問だが
とりあえず気にするなということか
乱れた感情が落ち着きを取り戻していることに気がついた
『シッマ、』
コ「ん」
『…なんでもない』
コ「…そおか」
好きだなんて淡い言葉より、彼の温もりが答えな気がする。
私はここにいていいと認めるような彼の仕草全てが
今の私の存在意義な気がした。
＿＿＿＿＿＿＿
辟易になるような日常を
…泣きながら殴ってみた、抜粋
るゆさんリクエスト
愛と憎しみは表裏一体
乱れた感情を慰められるのは彼らだけ、そんなイメージ
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琴葉(プロフ) - 逆音つらら@ちゃげっ娘。さん» こちらこそ、ずっと読んでくれててありがとう！！コメントくるたび私もニコニコしてたよ…！本当に、長く書き続けてしまったけど、見守ってくれてて本当にありがとう！これからもよろしくね！ (2022年4月25日 21時) (
レス) @page50 id: bc3093acc5 (このIDを非表示/違反報告)
逆音つらら@ちゃげっ娘。(プロフ) - 長い間お疲れ様！！琴葉ちゃんの書くみんなが大好きで堪らんかった！毎回更新される度にニコニコしながら読んでた。最後の話めっちゃ好きありがとう...; ;改めてお疲れ様。長文失礼！ (2022年4月25日 20時) (レス) @page50 id: 7d70168393 (このIDを非表示/違反報告)
夜雫(プロフ) - 琴葉さん» 全然！むしろお願いしますm(_ _)m わたしほんとに主様の文が好きなんですよ！どうかよろしくお願いします！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 1708361fbd (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 夜雫さん» ｳｯｯｯやっぱり見たいですよね…私も書きたいです…嬉しいお言葉ありがとうございます…！余白的にしてみたでしたら書けるのですが、それでもよろしいでしょうか… (2022年4月21日 17時) (レス) id: bc3093acc5 (このIDを非表示/違反報告)
夜雫(プロフ) - 胸:糞のやつ最後まで見たいです。文が毎回毎回知性を滅茶苦茶に感じる綺麗な文でほんとに好きです (2022年4月20日 22時) (レス) @page46 id: 1708361fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉
| 作成日時：2019年9月12日 0時
