[短編集]Everyday life with you[wrwrd][完結]

一朶の白詰草(rb) ページ3

ロ「…今日も元気やなあ…」

普段通信用として使っている媒体とはまた違う機械から
彼女の楽し気な声が聞こえて、溜息を吐く。


盗聴なんて趣味がいいとは自分でも思えない
分かっている。
それでも、気になって仕方ない。

ロ「…まあ、Aも分かってるし」




盗聴機能がついていると分かっていて
彼女は普段俺が渡したイヤリングを身に着けている
ある意味公認だと、勝手に思っている。






ロ「……」

自分だけの人になればいいのに。
なんて、叶うわけがない。


誰が言ったわけでもないが、それは暗黙の了解なのだ
Aを誰か一人だけの人にしてしまえば
きっと今まで保たれていた何かが壊れてしまうと
皆どこかしらで分かっている


…わかってはいるけど、
欲が出てしまう。




　『じゃあロボロのとこ行ってくる〜』


ロ「っ！！」


コネシマの見送る声とAの声が突然耳に入り、心臓の音が大きくなる




やっと話せる。

やっと会える。





そう考えれば全身が沸騰したかのように熱くなってきた

存在だけで自身をここまで乱されるなんて、
Aと関わりだした時の俺には到底想像もつかなかっただろう




　『ロボロー、今大丈夫？』

ロ「おん、大丈夫やで」





平静を装えているか内心心配になりつつも
何時も通り画面に目を向けた



ふと名前を呼ばれ彼女の方を向けば
突然抱き締められて、
当の本人を見れば悪戯っ子のような笑顔が自身に向けられた


熱い顔を隠すようにもがくも
思ったように体が動かなくて為されるがまま



クスクスと笑うAが可愛くて仕方ない
惚れた弱み、というものだろうか。




ロ「…ホンマ、達悪いわ自分…」






いつか、いつか


この愛おしい笑顔が自分だけに向けられればと
今はそれだけを願うのだ。




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シロツメクサ(白詰草)
…『約束』『私を思って』
『私の物になって』(四つ葉)

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