[短編集]Everyday life with you[wrwrd][完結]

幸せの紫(syp) ページ16

咲けよ咲けよ。

さあ今日は＿。


＿＿＿＿



体中から咲いたその花たち。
もう止める術もなく毎日咲き続けるそれは、相も変わらずとても綺麗な色をしていた



ｼｮ「…これ痛くないんすか」


するりとあなたの腕を撫でるその指先に触れた花。
これは誰で咲いたっけ。
赤色だからトントンかな。



　「痛くないよ、とっても幸せ」


愛情を与えられれば文字通り体から溢れる様に
私の体にはたくさんの花が咲いている。


愛情を感じれば、与えられれば咲いてしまう。
いつかこの体が終わるときは、その時は花に埋もれて死ぬのだろうか





なんて私らしくない美しい最後。





ｼｮ「俺…おれ…」





好きなんです



掠れた小さな想いが零れる。



その声で紫の小花が咲いた。
ああなんて、なんて可愛らしい。






　「君からの愛で咲いた花は綺麗だよ」



きっと私は心底幸せそうな表情をしているだろう。
それと対照的に彼は悲痛な表情を浮かべた




ごめんね、ごめんね。




ツルと茎の絡みついた足は動かない。


機械のようにぎこちなく、軋みながら動く腕。


彼の頬を撫でる手の甲にも花が咲いていた




ｼｮ「っ、ごめ、なさ…俺、先輩の事、好きなんです…」




掠れたその泣きそうな、震えた声で花が咲く

今度は大きめの紫の花。


　「うん、やっぱ綺麗やわ」




痛い筈なのに、命が蝕まれているというのに
どうしてこんなに幸せなのだろう





どうしてこんなにもこの花々が愛おしいのだろう。




答えを考えずともわかってしまう。


嗚呼、愛する人たちの想いで死ねるなんて。




口には出来ないこの幸福感、きっとこの世で感じられるのは私だけだ。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


欺瞞だらけの日常を
⇒花咲病になってみた、抜粋




＿＿＿＿＿

久しぶりの物書きなので短めですし至らない点もあるかと思いますがご容赦を。

甘美な味わい~lemoncake~(sha)※→←朝涼み(kn)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す