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第16話 天馬の気遣い ページ20

天「はぁ〜食った食った」

天馬は満足気に笑いながら少女の手を引いて歩く
町中では人々が忙がしく働いているが、皆天馬を見ると作業を辞め、頭を下げたり声をかけたりする
最強の陰陽師とまで呼ばれる天馬が、歳の近い女と歩いていると言うだけでも充分なゴシップだ

「あの少女は天馬様の御愛人か?」

「まさか!」

「でも手を繋いでるわよ?」

「なんだか暗い顔の人ね」

「綺麗な顔だけど、俯いてちゃぁ美人も廃れちまうなぁ」

町の入口でもあったような噂話がまた始まった

「……天馬さん…勘違いされてます…」

少女は自分の手を引いて前を歩く天馬に小声で話しかけた

天「知るかよ。させときゃいいだろ?」

天馬は毛ほども気にしていないようだった
町に出る度にこのようになる彼は慣れているのだろう
だが少女からすれば、2歩歩く度に町の人々の視線が突き刺さるこの状況は異常だった
本土の学校で“虐め”を受けていた彼女は、大勢の人に見られるとどうしても恐怖心に駆られる

(……あんまり目立ちたくない……)

天馬と一緒にいる以上それは無理な話だが、少女は切実にそう思った

天「どうしても息苦しいなら言えよ?」

「……はい」

天馬は顔を曇らせている少女の様子にそう言った
彼なりに少女を気遣っているようだ

天「人に囲まれんのは苦手か?んん?」

天馬は聴衆を示して尋ねた

「はぃ…苦手…です…」

少女はそれに素直に答えた

天「…しょうがねぇなァ……よし!」

天馬は思い立った様に笑い

「え……きゃあ!」

少女を抱き抱えた
聴衆は更に騒ぎだす

天「しっかり掴まってろよ〜!」

天馬が地を蹴ると、二人の身体は高く跳んだ

「?!?!?!」

天馬は普通の陰陽師が使うような呪装は一切使えない
と言うより、彼にとって呪術・呪装というのは日常動作の延長に過ぎない
故に、人離れした跳躍も、人一人を抱えて車より速く走ることも、彼にとっては普通のことなのだ

「…凄い…」

少女は瞬く間に流れていく人々や町並みを目で追いながら呟いた

天「あんま周囲に気ぃとられてると落っこちるぞ?んん?」

その言葉に少女は天馬の首に回している腕を絞まらない程度に強く組んだ

天「……ま、落としゃしねぇけどな」

そうこうしている間に、彼等は目的地に着いた

天「着いたぞ〜」

天馬は少女をそっと降ろした

「……!!」

少女は目の前の光景に思わず目を丸くし、次に足を一歩踏み出した

白く美しい砂浜

音をたてて打ち寄せる波

「…海……」

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藍月(プロフ) - ★ホームランバッター☆さん» さっきも言うた通り私は描いてくれる、というだけで嬉しいですから!自分のことも大切です!何時でも待ちます! (2017年4月28日 20時) (レス) id: f0544b0ee0 (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 藍月さん» 藍月様の寛大な御心に感動です。・゚・(ノд`)・゚・。 (2017年4月28日 20時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
藍月(プロフ) - ★ホームランバッター☆さん» いえいえ!描いて貰う側なので、何時でも待ちますよ! (2017年4月28日 19時) (レス) id: f0544b0ee0 (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - 藍月さん» イラストお待たせしてすみません(。>д<)実はイラストを描くアプリが誤作動でアンインストールになってしまいまして……もう一度最初から描き直しておりますので、もう暫くお待ちいただいてもよろしいでしょうか( ノ;_ _)ノ本当にすみません (2017年4月28日 18時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)
★ホームランバッター☆(プロフ) - つーちゃんさん» ありがとうございます!今後もどうぞよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年4月28日 18時) (レス) id: 471f1caae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:★ホームランバッター☆ x他1人 | 作成日時:2016年12月11日 19時

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