俺もお前も意地っ張りやな【宮侑】 (ページ19)

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１８，曖昧で不確定ページ19

「………で、話って何？」

昼休み

人気のない階段に響かない程度の声で話を切り出した

正直こんな場所で男女が２人きりなんてあかん気もするけど、相手が治やからまぁ平気やろ

「ツムとカリンが喧嘩したっちゅう話、辻原以外に誰が知っとるん？」

「え？………うちのクラスのカイヤ以外は居らんと思うけど…」

そう答えると治はしばらく黙った

「え、なに？それがどうしたん？」

私は治を急かして次の言葉を待った

「結構噂になってんねん。2人の喧嘩のこと」

少しして返ってきた答えに、一瞬戸惑った

そりゃ……何となく雰囲気で察する子も居るやろ

今まであんなに距離近かった２人が突然離れたんやから

そーゆーのに敏感な女子も結構居るし…

………女子………

「まさか……」

治がこくりと頷く

「昨日からずっと、メールだの電話だので俺に確認の連絡が来んねん。ツムのファンの子達から」

まじか

「宮のファンの中には結構過激な子も居ったよな……もしかして…カリンに逆恨みとか」

「めっちゃ住所とかクラスとか聞いてくる」

「まさか教えて…」

「ない」

まぁ、教える奴ちゃうよな、あんたは

でもまずいわ

ただでさえ精神的にやばい時にそんな過激派からの嫌がらせとかあったらカリンの身が持たん

「あと、この隙にツムに上手いこと取り入って自分がカリンに取って代わろうって女子も何人か居る」

「どいつもこいつも…」

私は頭を抱えた

勿論カリンを守るつもりだ

けど、最終的にはカリン次第

きっと私に出来ることなんて限られとる

「……なぁ、治」

私はふと、治にある疑問を投げかけた

でも、それは治に聞いてもどうしようもない疑問やった

けど、今この場で他に聞ける人が居らんかったから

私は半分無意識のうちにその疑問を口に出した

「カリンは、何で宮のこと嫌いにならないんやろ」

「………」

「こんなツラい思いしてでも好きでい続ける意味ってあるん？いっそ別れた方が楽やん。
仲直り出来ない、でも別れたくない。そんなんもうどうしようもないやん」

「………」

宮も宮で、ちゃんと自分のファンの手綱くらい握っとけや

本当に嫌がらせなんてあったら、私は宮のことを恨む

「……辻原は、2人が別れたらどうする？」

突然の問いに驚き治を凝視する

想定外の質問だった

治は真剣な顔で答えを待っている

「どうするも何も……私はカリンを支える」

決まりきっていた答えのはずなのに、いざ答えるとなるとあまりに曖昧な気もした