平凡少女と不良イケメン

調理実習 ページ5

時は過ぎ、６月


友達に言われた言葉を気にせず毎日三ツ谷くんと話している。


だが、夜に会ってバイクに乗せてもらったのはあの日以外一度もない

もちろんドラケンさん達にも一度も会っていない
きっとこれくらいの距離感が一番良いのだろう







「はい、今日は班ごとにハンバーグを作ってもらいます」



３、４限目の調理実習で三ツ谷くんと同じ班になった。



「Aさん、この野菜切ってくれる？」


「あ、わかった」


そう言って三ツ谷くんから付け合せにする人参とブロッコリーを受け取った


野菜を軽く洗いピーラーで皮を剥くと、人参を切ろうとする

が、三ツ谷くんに止められた


「Aさんちょっと待て、その持ち方だと指切れるぞ」

と言いお手本を見せられる


この人は本当に不良なんだろうか。


料理もできて裁縫も得意
圧倒的に女子力が負けている


私は家で料理なんてしたことがなく、指を切りそうになったので最終的に三ツ谷くんが食材を切ることになった


「ごめんね三ツ谷くん、全部切ってもらって」


「気にするなよ、誰にも得意不得意はあるだろ？」


そう言いながら手際よく野菜を切っていく三ツ谷くん


私はもう皿洗いと野菜を炒めるのに全力を注ぐことにした


完成したハンバーグはめちゃくちゃ美味しかった


「三ツ谷くん料理上手すぎない？プロなの？？」


「いや、オレの家貧乏でいつも妹の飯も作ってるから慣れただけだよ


でもAさんが料理苦手なのはちょっと意外だったな。」


「料理だけじゃないよ、裁縫が一番ひどい
あーもうすぐ裁縫の授業あるし無理だ終わった」


うなだれながら愚痴をこぼすと


「今度教えようか？」


と三ツ谷くんが言った


「あ、でも部活のときは駄目だから休日とか放課後になるけどいいか？」



「いや、むしろありがたいんだけど、大丈夫？迷惑じゃない？？」



「別に迷惑なんて思わねぇって、授業でわかんねぇ所教えてもらってるしな」



そう言って頭をポンと一回触られる

は、と声が漏れ

状況を理解するのに数秒かかった




待て待て待て？いま頭触られた？


三ツ谷くんに触られて、一瞬にして体が熱くなる


だが、当の本人は特に気にしてなさそうなので言うのをやめた

三ツ谷くんは誰にでもこういう事をするのだろうか








少しモヤッとしてしまい、その気持を振り払うように私は急いで片付けに取り掛かった

幼馴染→←住む世界

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す