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「あー新しい奴？だっるぅ！！」
「お前、少しくらい抑えろや。」
「今居らんやん？我慢した方やろ。」
生徒会立候補の新入生が全員出ていくと気が抜けて本音が漏れてしまう
トントンも欠伸し、ロボロもピンと伸ばしていた姿勢をだらけさせる
口ではこちらを制止しながらも疲れた様子の二人は感想としては同感なのだろう
ふと窓の方に目を向けると、部活動をしていた生徒たちが帰っていくのが見える
「あー、シッマもう帰ったよな？」
「え？まぁ疲れてるやろうしな。」
「どうしたん？やっぱ昨日電車ん中で何かあったん？」
訝し気にこちらを見てくる二人にお得意の言い訳で何とか話を反らす
というのも、昨日見てしまった後聞いた話は流石に邪魔させないでやった方がいいだろうと少しの良心が語り掛けてくるからだ
昨日見たのが心無いシマでお馴染みの捏島が他校の女子が落とした水筒を拾ってやっていたこと
そして詰めてみれば一年も前からその女子に思いを寄せていたとの話
聞いた時はまさかあの男が、と誰かほかの友人に話したい衝動に駆られたが、親友と謳う手前協力的でなければならない
ちょっと頑張ればお近づきになれる女子校が増えるだろうという下心が9割占めるその考えは、衝動の抑止力としては十分過ぎた
「けど、流石にあの学校かぁ.....。」
一人暗い帰路を歩きながら思考を巡らすも、今まで自分も関わりを持つことができなかった学校だ
彼には悪いが、ひっそりと誰かに協力を仰ぐことは避けられないだろう
慎重に人選しなければならないことに対する気苦労は、親友の為だという綺麗事として仲間内に言い伝えられること間違い無しだ
「あ！そういや去年....」
机一杯に広がった甘いものに目を輝かせ、二人だけで完食してしまったあの光景がふと呼び起こされる
初めは興味が無かったものの、それを用意した彼から出てきた一つの学校名に一気に興味を持っていかれた記憶
珍しく頑張って記憶を呼び起こしてみれば、一人の女生徒の特徴の話
まさか、と思いながらも昨日一瞬だけ見えた捏島が話していた女子の特徴とそっくりそのままに当てはまったと分かったときは鳥肌が立ってしまったのは通常の反応のはずだ
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作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
