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「何食べるん？なぁ....なぁ？聞こえてないん？」
背後からずっと語り掛けてくる声は、歩いていても一定の音量で聞こえてくる
「シッマの後輩君。聞こえとるやろ。」
関わったら面倒なことしかないだろう、それは嫌だ
その一心で下手に逃げることもせず歩いていれば、やっと見えてきた売店
「あ、塩戸ー.....すまん、俺今日委員会あったわ。」
「はぁ？お前...！」
駆け寄ってきた友人は背後にいる人物を認識した瞬間、無理な嘘を吐いて逃げて行ってしまった
社会科係のくせに委員会がある訳が無い
兎に角、売店前の集団に紛れようと足を動かす
「なぁ、聞こえへんワケないやろ。」
視界一杯に緑色が広がる
前に出しかけた足を慌てて後ろに下げれば、傾きかけた体が何とか支えられる
心なしかフードに描かれた顔がこちらを睨んでいるように見える
それが無くても、この人からは睨むような視線を感じるだろうと思うほど、威圧をかけられていた
「なんすか。」
降参を表すように両手を上げると威圧は無くなったが、上げていた左手を掴まれてしまった
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「で、聞きたいことがあんねん。おい、聞いてる？」
あのまま力強く引っ張られ、おとなしくついていけば二人席に座らされた
まだ昼食を買っていないと訴えれば「大丈夫だ。」と言い、鞄をガサガサと荒らし始めたと思えば次から次へと取り出されていくおにぎりやパン
捏島さんから話は聞いていたけれど、本当によく食べるんだなぁ
そんな呑気なことを考えていれば、口内に押し入れられるおにぎりたち
「胃がきつい」なんてもう疾うの昔になったとき、やっと本題を話し始めたが耳に入れるのがやっとだった
「それで、あの....名前なんだっけ、眼鏡の奴。」
「チーノ、のこと、すか？」
「せやったっけ？まぁそいつ、どんな奴？」
「...なぜです？」
机に上半身を垂れた状態でジッと見ていると、顎の下に拳を置き考え始める
少し経つと唸りながら口を開いた
「んーなんやろ、最近そのチーノ？って奴、気づけば視界の端に居るんよな。だから気になってん。丁度シッマの後輩居ったし、今日一緒に登校しとったし聞いてみるかって思ったんや。」
その理由に、今朝の出来事を思い出す
確かに明らかに警戒を含んだ視線であったことは分かった
最近再び活発になったチーノの行動の被害者になったことに、深くため息をついた
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作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
