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「あ、日原君だ。」
「え、誰？」
「ほら、オスマン達が話してただろ。」
「あぁ....そうだっけ？」
チーノを見ながらそんな会話をする、風紀委員の腕章をつけた二人は二年生だったはずだ
確か捏島だったか鬱島だったかと話していた記憶がある
風紀委員と言いながら、身に付けているものがあまりそうとは見えなかった印象があった
だが、今は委員会の仕事であるからか身なりは整えられている
「知り合いなん？」
「いや、俺も知らんけど。」
困惑した様子のチーノがそう答えると、こちらが見ていることに気付いたバツ印のついたマスクをしている先輩がこちらに近づいてきていた
「ごめんごめん、知り合いに聞いた容姿そっくりだったから。君、生徒会でしょ？そこの二年生、大体よく話す奴らだからさ。」
「え、僕聞いたことなかったんすけど？なんでなん？」
「えぇ、知らねぇよ。ロボロとかに聞いてくれない？ってお前、おい！」
マスクの先輩の背後で会話していた先輩は、いつの間にか視界から消えていた
大声を上げた先を見てみれば、いつの間にかいつものようにフードを被り、チーノの顔をジーと覗き込んでいる姿があった
先輩の表情は窺えず、それがさらに恐怖心を煽いだのか、驚いて息が詰まっているチーノが冷や汗を流していた
「あーっと、ゾムがごめん。」
「いえ、別に。」
「そっか、慣れてるのか。流石コネシマの後輩。」
ぼそっと呟かれた言葉に、心の中で捏島を背後から刺す情景を思い浮かべていると、ゾムと呼ばれた先輩の視線から解放されたチーノが体重をかけてきた
「おれ、しぬかとおもった...。」
「ざまぁ。」
「お前、少しは労われよ！」
ぎゃんぎゃんと吠えるチーノを置いてけぼりにしようとすれば、後ろから走って追いかけられる
捕まるのは癪に障るものの、走るのも面倒なので捕まれそうになった肩をヒョイッと横に避ければ再び吠えているのを嘲笑う
少しすれば風紀委員長にばれなかったことは運が良かったとか、今日の時間割だとか、話は転がっていった
少し振り返ったときにフードの陰に隠れたゾムさんの目と合ったような気がしたが、多分気のせいだろう
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作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
