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チーノは一際大きな図体をしているくせに、人波に流されながら大袈裟に肩で呼吸していた
冷めた目で眺めておけば理不尽にショッピぃと叫ばれる
「それより、さっきの人がチーノの姉さん？」
「あ？あーいや違う、姉さんの友達。」
自分から始めた質問の答えを、テキトウに頷きながら流す
その態度に慣れたのか、はじめの頃にはすぐ不満を溢していたチーノはムスッと不機嫌になるだけで何も言わなかった
学校近くのコンビニが見えてきたところで、チーノが何を思ったのか目立つ大声を発する
近くの同じ制服を着た男女や散歩中の犬からの怪訝そうな視線が不快で、原因であるチーノをキッと睨めば、平謝りして一枚の紙を差し出してきた
「これ、行く？」
「何これ。」
「チケット、姉さんから貰った。」
あぁ確かに、実物を見たことが無かったから気づいていなかったものの、鬱島さんがこれを持っているのは見た記憶がある
あまり他校に興味は無かったから
チーノから受け取り少しの間眺める
裏返すと日原心陽という名前と、日原の印鑑があった
「お前日原って苗字なん？」
「え。」
「え？」
そういえば彼の名前について聞いたことは無かった
もともとチーノという呼び名があったため、気にも留めていなかったのだ
「えぇ。俺が言わなくても誰かに聞いてるかと思ってたわ。」
「で、名前何なん？」
「日原智音。」
ちょっとショック、と嘆いている声が聞こえたような気がするが、それはあんまり興味はない
ノートと教科書の間にくしゃくしゃにならないように入れながら歩いていると、校門が見えてくる
「ゲッ！風紀委員長やん、今日だったっけ！？」
校門の前には腕を組み、目をつりあげている風紀委員長が堅苦しい雰囲気を醸し出していた
基本的に染髪やピアスなどは禁止されていないが、極度に着崩していたり周囲に迷惑が及ぶくらいのアクセサリーだったりすると委員長から直々の楽しいお話会が待っている
チーノは以前生徒会の関係で話した際、副委員長である女子生徒に笑顔が胡散臭いと言われて以来、委員長も一緒にいたそうで二人を苦手としている
もっとも、委員長に関しては理不尽に嫌われているのは気の毒だ
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作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
