２０ ut ページ20
.
今朝の自分のように放課後に教室までやってきた後輩を押し退ける
今日の昼、オスマンから譲り受けたチケットは捏島に渡し、名前と印鑑をもらってくるように言った
正直普通に聞こうとすれば制服を着ていようと不審者には変わりないわけだが、まぁ会話できたとは言っていたしまぁまぁ大丈夫だろう
これを機に互いに自己紹介でもすればいい、そう思って送りだしたものの奥手男のような相談事をする彼には少々驚いたものだ
「にしても、あの後輩なに者なん？」
初めはただただ同族嫌悪のそれと似たものだと思っていた
しかし、文化祭のチケットを見てからそれに粘着するように質問してくる
しかも特にチケットは要らないと即答されたのだから、本当に不思議だ
まぁ欲しいと言われたところで、今は二枚とも捏島が持っているわけだからどっちにしろ渡さなかったのだが
「さぁ？俺は知らないめぅ〜！」
色取り取りのケーキに目を輝かせ、気分の上がっているオスマンが可愛らしい語尾をつけて答える
嬉しそうに頬張っているのはいいが、正直言って周りが女の子ばかりなこの場所は俺らには浮いているように思える
彼は気にしていないようだが
「生徒会の一人としては満足やね、しっかり仕事するし分からんかったら聞いてくるから。トントンも助かる言うてたわ。」
「彼女とかの情報は？」
「知る訳ないし興味ないわ。何、狙ってる女でも被っとんか？」
「あー、近からずも遠からず。」
今の疑問はあの後輩自体のことではなく、何故文化祭に誰と行くかと聞いてきたのかということだ
興味本位、世間話と言われてしまえばそれまでなのだが、塩戸君との会話は世間話だ四方山話だと誤魔化すのが好きな彼はそれをしなかった
「んまぁ、危険分子ではないやろ？別に人刺し殺すやつやないで。」
「んー、どちらかと言えば....攪乱分子？」
「ほーん、で？誰と一緒に行くん？」
「一緒....あぁ文化祭のこと？シッマ。」
「じゃあ心陽ちゃんに会ったらよろしくな、くれぐれも希美には手ぇ出すなよ。」
妹のことになると途端に感情の起伏が激しくなるオスマン
そんな彼が妹からチケットをあげたて良いのではないかと提案されたことに対し、不信感を持たないわけがない
最後に付け足された言葉の裏に隠された怒りを、冷や汗を垂らしながらも返事をせず受けた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
